10数年越しの何か

　押し入れにひっそりとしまわれていたこちら。

　バラバラ殺人……！
　しかも下半身の一部が行方不明……！

　あみぐるみでこういったバラバラ殺人はありがちと聞いていたけれど、まさか自分が当事者（犯人）になるとは。
　しかも10年以上前に編んだやつ。
　下手すると15年くらい経過しているやつ。

　この不憫なUFO（※）をどうにかしてやらねば。
　だというのに、なぜこんなときに下らない邪魔が入るのか。
　と、軽く経緯を書いていたら仕事への罵詈雑言に……見苦しいので自粛。手短だったけど言葉がたいへん汚い。いくらでも知ってるからなそういうことだけは。

　とにかく、不当に削られた時間をやりくりしてこうなった。

　あみねこ。
　人生3匹目。
　最初の2匹は妹のお供をしているはずだが、実はこれも妹のために編もうとしたもの。
　それで10数年……えーっと。

　あみぐるみは海外でもそのまま "amigurumi" と呼ばれているらしい。靴下を編むときにいうところのSSS（Second sock syndrome）のように、あとはつなぐだけなのに状態の "barabara-satsujin" も海の向こうで普及してよいのでは。

　それにしてもわからないのは、靴下だと「早く履きたい」といってすぐもう片方に取りかかるのに、どうしてこのあみぐるみを放置することになったのか。
　こいつこそ「早くかわいい姿にしたい」と思うはずなのにな。
　目鼻の位置決めのみで半日かかるのがめんどくさかったのだろうか。

※「UFO」＝ Unfinished objects の略。アルネ＆カルロスが「途中まで編んで放置したやつ」をこう呼んでいた。一般的に使われているかどうかは不明。