毛糸の値段に腰を抜かしてから、しみじみと費用というものについて考えてしまった。
まず羊の飼育に関わるあれこれ。というか、まずたくさんの羊を飼えるだけの広さの土地の購入費用とか、畜舎(羊の場合もこれでいいのかな)の建築費、更に設備費、それからメンテナンスと掃除、そのための備品(工具だの長靴だのホースだの。外に頼むならその費用)、飼料、予防接種にかかる費用などなど。
そもそも羊の飼育をする人が健康に生きるための環境(家、ごはん、余暇など)も必要で、羊を追う犬の場合もそう。一家で業務をまかなうなら家族についてもそうで、人を雇うのであればその費用が必要になる。
毛糸の原料を生産するところからしてとんでもなく費用がかかるわけで、それで刈った羊毛を加工するとなると紡績所とか染色工場とかの土地だの設備だの従事者の人件費だの。
それを売るとなればラベルを印刷せねばならないし、宣伝のための費用とか営業する人の人件費とか。更に、店舗で販売するなら店の家賃とか従業員とか設備とか宣伝とか。
それに、生産する場所から店先まで何度も輸送されるので、それにかかる費用もここまで書いてきたものと同様だ。
要するに、毛糸1玉ができあがって自分の手元にくるまで、かなりの費用がかかる。いろんな設備やたくさんの人が関わって、少なくとも生産者・製造会社・販売会社・小売店を経由するたびに取引価格が上乗せされ、そこに採算が取れるような利益を載せたものが値段。雑だけどイメージとしてはそう間違ってはいまい。
1玉110円(消費税込み)のこの毛糸、どうやって採算取っているんだ……? というか、昨日の100g3,080円だってほんとに採算取れてるのか? あれイタリア製って書いてあったから海外からの輸送費もかかってんじゃないの?
この100均の毛糸だって「ウルグアイウール」と書いてあるのだから、これだってやっぱり海外から調達したんじゃないのか。
ものの値段はよくわからない。だから、ここまで考えてみたら「どうして手染めの毛糸は100gで4,000円とか5,000円とかするんだろう」という疑問が生じてしまった。
染色用の毛糸も同様の経路を辿っているとは思うが、染めない分だけ少しは安くなりそうな気がする。そして個人が手染めをする設備は大量生産する場合よりもずっと小さくて済むはずで、関わる人数も少ないから人件費も比例して下がるはず。
「希少性のあるものは高い」というのはどこの世界でもあるのだろう。でも、それでドイツから輸入され販売されているOpalが1,700円かそこらで済んで、国内で個人が染めた同じ重さの毛糸が4,000円というのは具体的にどう決まるのだろう。
まさか、工場で染める場合の費用と個人で染める場合のそれが極端に違うわけでもあるまい。工場では、大量に在庫している染料の保管にかかる費用が生じるのだから、結果的にそんなに差はないのではないか。
そもそも、かなり少ない生産数の手染めの毛糸が、もっと多く生産された他の手染め毛糸より1,000円以上安いケースもあるので、ますますわからなくなってきた。
こういうことって経済大学で勉強すれば、納得いくような理屈がわかるのだろうか。いつも「袋いっぱいのもやしが40円もしないのは変だ」と思ったりもしているので、値段の理屈が知りたい。
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