本やパターンに載っているものを編むとき、指定糸を使うか使わないかはその時々で変わる。あんまり高い糸ならば他のもので代用したり、値は張るけれどぜひこの糸で編みたいと思えば指定糸を使うし、手持ちのこいつでなんとかしたいと思えば数本を引き揃えて試し編みをしたり、編み針の太さを変えて無理にゲージを合わせたりする。
で、いちばん話が早くて済むのはもちろん指定糸を使う場合。ゲージが合わなくても編み針を替えればいいのでわりと簡単。
逆にいちばん頭を使うのが代用糸を使う場合で、というか要するに指定糸を使わない場合は程度の差こそあれそれなりに頭を使う。
代用糸を探す場合でいちばん簡単なのは、毛糸のラベルである程度の判断ができるケースだろうか。ラベルに推奨の号数や標準ゲージが載っており、それが指定糸のラベルの数字と近ければ「これで代用できるかもしれない」と思える。
とはいえ、ラベルの標準ゲージのなかには専門家がみると「ほんとか?」と思うような疑わしいものもあるようだ。

『毛糸ラベルに書いてある標準ゲージ』
所長の伊藤です。 編物をやる人にとって、「ゲージ」は避けて通れないと思います。 「ゲージ」とは、編み目の適正な粗さ(細かさ)を示すものです。手編みだと通常、…
加えて、必ずしも推奨の編み針サイズが自分に適しているわけではないので、「たぶんこのへん」と当たりをつけたあとは試し編みは欠かせない。ものによっては、標準ゲージが同じでも糸の質感の違いのせいなのか、ぜんぜん合わないこともある。
ラベルの情報に不足があればますます話はややこしくなる。
今のところ自分の経験でいちばん困ったのは、棒針ゲージしか書かれていなかったとき。なぜ棒針だけなのか理由がぜんぜんわからないのだが、かぎ針で編む糸を探している場合、買って編んでみなければわからない。
だが試し編みの結果によっては無駄になるかもしれないので、その場合の対処方法(その糸で他のものを編む可能性が明確にあるか)がしっかりと頭に浮かばない限り諦めるのが常だ。そしてたいてい対処方法など思いつかない。
そもそも代用糸を探すときは、指定糸と同じ目数と段数で編んだら同じ幅と高さになる糸が欲しいわけで、つまり糸の太さが判断基準になる。
ということは「1gあたりの長さ」を考えればいいのだろう。それは「長さ÷重さ」で算出されるので、試しに手持ちの糸で計算してみると以下のようになった。
・ダイソーレース糸60番=12
・金泉ニット エールエールラメ=11
・金票40番=8.9
・ランタンモール=6.1
・エミーグランデ=4.4
・Opal=4.25
・エブリデイアルパカ=3
細い方から並べてみたら、「1gあたりの長さが長い=数字が大きいほど細い」ということがわかりやすくなった。
こうなると、代用糸を探すときは「1gあたりの長さ」で比較検討した方が簡単かもしれない。かぎ針ゲージが載っていなかったり、パターンのゲージが模様編みで指定されているケースもあるし。
それにラベルは案外曲者というか、冒頭に載せる画像をフォルダから探していたら変なのが出てきて……
2種類のゲージの間にある記号というか線はどういう意味なんだ。何これ。
半日くらいしてから「もしや編み機か」と突拍子もないことを思ったが、それならそれで向かって左側のゲージにはなんにも書いていないのが不思議でもある。もし右側のゲージが編み機を使った場合を示しているなら、左側にもゲージの前にたとえば棒針を意味する記号などがあるのが自然だろう(言葉で書くなら「棒針:26目38段、編み機:28目40段」のような)。
まあ何よりも、毛糸のラベルには食品の原材料名欄のような表記の統一ルールがないのが不思議でしょうがない。
「並太」など糸の太さを示す言葉にしても、企業によって実際の太さは違うともいう。語は同じなのに太さが違うって意味わからん。奈良時代ですでに「ものの測り方の統一は大事」という認識があったのに、なんでこんな混乱を招く言葉が長いこと使われ続けているのだろう。
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