編集

家庭用ミシンすげえ

2026/09/04
 裁縫の腕前がぽんこつなわりに「デニムは家庭用ミシンでは縫えない」みたいなことは知っている。ジーンズを縫う機会などないとわかっているので、こんなことを知っても意味はない。なのでこれは「自分にとっては余計な知識」である。でもそういうものに限ってずっと覚えていたりする。が、そんな余計な知識がふとしたときに役立つこともあるし、必要になったときにはその知識が既に役に立たなくなっていることもある。
 脳の中身が整理できなくてよかった、としみじみ思う。とにかく自分の頭は無駄なことだらけである。ぜんぶ出して並べてみたら、実生活に役立つものは20%もないんじゃないかと思う。「80%の無駄なもの」で成立している自分。そんな無駄な知識から得たものをうまく活用できていると思いたいが、果たして世間はそれを認めるだろうか。
 無駄な知識が実生活に役立つこともある。自分の経験からというと、まったく無関係なものが密接に関連することもあるのだ。だが「介護職の経験が事務の仕事に非常に活きている」と話したら上司が黙ってしまったので、自分の考えは少なくとも会社という場では圧倒的少数かもしれない。まあ、介護は「誰にでもできる仕事」とか云われたりするしな。そういうたわごとを口にする人ほど、「でも自分はやらないけれど」とも云う。やる気がない時点でそれは「できない」ということなのだが。

 余談が長くなった。話を戻して、「デニムは家庭用ミシンでは縫えない」という話。

 実家から譲り受けたミシンはまぎれもない家庭用である。ちなみに弟の友人の結婚式の引き出物だったギフトカタログから選んだものだという。ギフトカタログの掲載商品の金額は知らないが、少なくともミシンの世界ではハイスペックではない部類に入るものだと思う。
 シンガーミシンのロゴが入っているが、アックスヤマザキという会社のラベルも貼ってあり(メンテナンスもこの会社が行っているらしい)、何がなにやらよくわからない。まあそれはいいや。

 で、このミシン、11・14・16番の針とニット用の11・14番の針が附属している。
 説明書の糸と布地の対照表をみると16番は厚地用で、「厚地」にはデニムが記載されている。確かニットも家庭用ミシンでは難しいような話を聞いた記憶があるが、ニット用の針が附属していて説明書にも載っているということは縫えるのか?
 まあニットはともかく、ジーンズも縫えるのかと驚いた。でも縫わないよなとも思った。ジーンズを縫う機会といえば裾上げくらいだが、それは買ったときに店でやってもらうものだと認識していた。

 だが、1年くらい前にメルカリで買ったジーンズの裾が長かった。ならばこのミシンの出番である。しかし裁縫への苦手意識が強いうえ、ミシンはまず糸をかけるのが難しいという記憶も根強いので、いつかやろうと思いながら放置していた。典型的な、そのままやらないパターンである。
 それがどうして今回やってみる気になったのかというと、愛用のジーンズの膝が派手に抜けたから。薄くなってきているとは思っていたが、横に破れて更に縦にも破れ、さすがにこれは30年若かったとしてもためらうレベルの破れっぷり。
 裾上げをしなければ会社に履いて行けるジーンズがない状況に陥った。

 というわけでまずは糸を調べた。ジーンズは20番や30番の糸が合うが、家庭用ミシンであれば30番がいいらしい。こんなことが書いてあるということは、もう最近は「デニムが縫える家庭用ミシン」は一般的なのだろうか。
ジーンズの裾上げ、家庭用ミシンでのやり方。おすすめの針と糸、そしてポイントは?

ジーンズの裾上げ、家庭用ミシンでのやり方。おすすめの針と糸、そしてポイントは?

今日は、家庭用ミシン、職業用ミシンをお持ちの方が簡単にできるジーンズの裾上げについてご紹介します。簡単とは言っても、ミシン糸・ミシン針などは最適なものを選ぶ必要があり、また糸調子や押さえ圧などの基本的な知識も必要になります。また厚い生地を縫う際のちょっとしたコツなどもご紹介しますね。

 更に、実際に家庭用ミシンを使った裾上げの動画が検索結果に出てきたのでそちらも参考にしてみた。

●【5分でわかる!】プロが教える家庭用ミシンを使ったデニムの裾上げ

 木づちか……ゴムハンマーはあるが木づちは持っていない。
 要は厚みのある布を叩いて薄くすればいいのだろうと考え、普通の金づちを使ってみた。が、折り込みが甘い状態で叩いても折った部分がだんだん開いてくるだけで、薄くなる手応えがなかった。
 いま思うと、開いた状態で重ね縫い部分を叩いても結果は同じだったのではないだろうか。……まあいいや。

 しるし付けにはサインペンを使った。
 どうせ隠れるところだし、チャコで書くより目立つので使い勝手がいい。とにかくこんなに厚い布地で裁縫をしたことがないので、気分は工作に近い。まち針も役に立ちそうになかったので、木製ピンチとダブルクリップを使った。
 手持ちの手芸用クリップを使えばミシンで縫う際に邪魔にならないのに、ダブルクリップでいいやで済ませた自分には「手芸用」と銘打ったものなど猫に小判かもしれない。

 ともかく試し縫いをしたうえで裾を縫った。
 ミシンのランプでは手元がよく見えなかったので、懐中電灯代わりのランタンを併用。ミシンにつけられるような小型ライトを探した方がいいかもしれない。
 肝心の縫い心地はというと、普通の布地を相手にしたときと変わりはない。あっさり縫えた。
 さすがに重ね縫い部分ははずみ車を手で回して縫い進めたけれど、片方の裾は厚みが増し始める部分だけ手回しで対応すればあとはフットコントローラーで難なく縫えた。もう片方は金づちでの叩き方が足りなかったのか、強めに布を引っ張りながら手回しで縫わねばならなかったが。

 完成。
 下糸は動画の勧めに従って60番を使った。茶色の糸だったのであまり目立たずに済んだ。上糸と同じような色の糸を買い足さず、手元にあるものだけで済ませるあたりはまあ自分だからしょうがない。適当にやるのが大前提。サインペンで書いた線がちらっと見えるのも想定内。
 自分しか見ない部分だからこれで充分である。

 それにしても家庭用ミシンの進化はすごい。そこに貢献しているのは間違いなく「自動糸調子」という機能だろう。ダイヤルを右に左に回しまくることなどなかった。今回わたしが回したのははずみ車と、縫い目の大きさを変えるダイヤルだけである。
 試し縫い自体は、10cm足らずのを2枚重ねで1回、3枚重ねで1回、縫い目のサイズを変えて3枚重ねを1回。これだけ。ミシンといえば延々と続く試し縫い、という過去はなんだったのか。

 技術の進歩はすごい。この調子で「線に吸い付くように切れるはさみ」とか開発されないだろうか。ロータリーカッターは非常に便利だが、カーブはうまく切れる気がしない。下に大判のカッターマットなどを敷かなければならないのも地味に面倒。
 しかし裁断線にはさみが吸い付いてくれれば、どんな線でも書いた通りに切れるのではないだろうか。電気を通すプラスチックがずっと昔に開発されたのだから、はさみに吸い付くインクなんて簡単に開発できるんじゃないだろうか。真剣にそういう技術革新を望んでいる。



新しい投稿はありません 前の投稿