初めて棒針で編んだときは中学生だったか高校生だったか。指で糸を持つアメリカ式で編み方を母に教わって、幅もそれなりにある何かを編んでいるうちにどんどんきつく編むようになっていった記憶がある。
そばで母が見ていたら「そんなに糸を引かなくていい」と云われたかもしれない。でも子供のひとりの編み物にずっと付き添えるわけもないので、注意されることがないままそのうち飽きた。きつくて編みにくかったし、根気がなかったし。
それから何十年か経った現在、どういうわけか状況に応じて編み目をそれなりに調整できるようになっている。特に何かで方法を調べたわけではなく、編みながら理詰めで考えてどうにかしたので、正攻法なのかどうかは不明。でも現にゲージはこれで変わるので、少なくとも自分には合っているようだ。
今の基本の編み方はこう。
糸を手前に引き出すとき、かけた糸は持っているが引っ張ってはいない。この「引っ張らない程度に持つ」というのは具体性がないので編み目が不安定になりそうだな、といま気がついた。でも素人目にわかるほどひどい編み目にはならないので、そこらへんは感覚的になんとかできているのだろう。それとも意識していない何かがあるのか。わからんな。 きつく編むときはこうだ。
基本の編み方の写真とくらべてみるときつさは一目瞭然。糸はぴんと張っているし、左の針にかかっている目がぐっと引っ張られているのがわかる。現在、すべりやすい糸はだいたいこの方法で編んでいる。そうじゃないと糸がすべって目がゆるむのだ。 では、ゆるく編みたいときはというと。
正気か、と思うがほんとにこうやっている。毛糸の表面がつるつるした糸ではうまくいかないだろうが、そうでなければある程度の摩擦がうまく作用してくれる。糸を引き出したらすぐ糸を持つので、引き出した糸が広がりすぎることもない。
まあ。この編み方は滅多にやらないが(棒針の太さを変えれば済むので)。でも糸を持ちながら限りなく力を抜いたりするので、無意識にこれに近いことは未だにやっているような気がするな。
こういうやり方だから、糸を持つアメリカ式がいちばんコントロールしやすい。しかしとっとと編み上げたいときなどは速度優先でノルウェー式で編み、その場合は左手で調整していることが多い。
基本はこう。
左手の人さし指に糸をかけ、中指だけで押さえている。押さえるというか、「糸の上に中指を重ねている」というのが正しいかもしれない。写真では薬指との間で糸をしっかりはさんでいるように見えるが、力はぜんぜん入っていない。 ならばきつく編むときは中指に力を入れて押さえるのかというと、実はそれがうまくできない。なので、きつく編みたいときはこうする。
これはかぎ針編みのときの持ち方で、こうすることで糸がずるずる滑るのを防げるため、引き出した糸の長さを調整しやすいのだ。それと同じ方法をノルウェー式に適用したらいい感じだった。
なお、ノルウェー式でゆるく編みたいときは……右の棒針で糸を長めに引っ張り出してみて、それからアメリカ式に変える。「長めに出す」を同じ調子で続けるのは無理だとわかっているのに一度は試し、やっぱ駄目だと思ってアメリカ式に切り替えるという。わかっているんだから最初からアメリカ式でやればいいのにいつもこう。
かぎ針よりも難しいなと思うのは、かぎ針の場合は引き出した糸の長さを把握しやすいので一定の目の大きさに揃えやすいのだが、棒針ではなぜかそうはいかないということ。引っ張り出しても長さがよくわからない。慣れればそんなことはないのだろうか。
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