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いろんな国の手芸を見たい

 きのうホビーショーに行って思ったのは、「世界の手芸を集めたこういうイベントやんねえかな」ということ。

 うちにはこういう本がある。
 編み物と刺繍だけというのが視野の狭さを証明しているが(しかもまだきちんと読み込んでいない)、ではそれ以外の分野も含めた本があるかというと、日本ヴォーグ社から出版されている以下の書籍くらいではないだろうか。
【新発売】美しき世界手芸紀行

【新発売】美しき世界手芸紀行

16の地域に伝わる世界の美しき伝統工芸を紹介 『毛糸だま』の人気連載「世界手芸紀行」からの書籍化第2弾! 世界の美しい手工芸の魅力や歴史、現在の状況などを詳しく紹介した好評記事の再録に加えて、アナザーストーリーとして現地の追加情報や実際に旅...

 2冊とも早く買わねばなのだが、先に挙げた3冊を見るだけでも「世界は広い」と思う。そしておもしろい。いろいろ見てみたい。実物が見たい。

 そういうイベントというと、「文化の見本市」である万博がいちばん近いのだろうか。だが手芸に特化すれば規模はずっと小さくて済むだろうし、できそうな気がするんだがな。

 万博といえば、パレスチナのパビリオンで展示を予定している手工芸品の一部が、イスラエルの占領による影響で届いていないという報道を数日前に読んだ。展示物を船便で送る許可が、イスラエル政府から下りないのだという。
万博開幕直前 各国・地域のパビリオン【一挙紹介】 大阪・関西万博2025|NHK

万博開幕直前 各国・地域のパビリオン【一挙紹介】 大阪・関西万博2025|NHK

【NHK】4月13日に開幕が迫った大阪・関西万博で、報道関係者を招いた「メディアデー」が開かれました。国内外の73のパビリオンが展示内容を公開し、みずからの技術や文化をアピールしています。

 ふざけんなクソがと激怒せずにいられない話だ。そして開幕した今も届いていないようだ。
イスラエルからの攻撃が続くパレスチナの展示を大阪・関西万博で見てきた

イスラエルからの攻撃が続くパレスチナの展示を大阪・関西万博で見てきた

大阪・関西万博に参加している158の国や地域には、2025年1月に停戦の合意があったあともイスラエルから攻撃を受けているパレスチナも含まれます。実際にパレスチナの展示エリアを訪れて、何が展示されているのか見てきました。

 あのすさまじい爆撃のなかでいろんなものが失われてしまったのだと思う。それでもなお万博という場で伝統を世界に伝えたいがために刺繍を船に載せようとするのに、なんで許可されないのか。腹が立つ。

 それで思い出したのがトルクメニスタンの刺繍で、これもまた世界の手芸を集めたホビーショー的なものがあったとしても、いろいろあれこれ難しいのではと気になる。
 というのもトルクメニスタンという国は現在、どうも北朝鮮みたいな感じらしいのだ。

※参考:BS世界のドキュメンタリー「トルクメニスタン 未知の独裁国家を行く」
「トルクメニスタン 未知の独裁国家を行く」 - BS世界のドキュメンタリー

「トルクメニスタン 未知の独裁国家を行く」 - BS世界のドキュメンタリー

首都アシガバートは大理石建築が世界一多く、ギネス世界記録にも認定された白亜の街。しかし街中に人影はなく、まるでゴーストタウン。一般市民は一体どこに?取材を進めると世襲の独裁政権の驚くべき実態、貧困に苦しむ市民、反体制活動への厳しい取り締まりなどが次々と明らかになる。 原題:Turkmenistan:The World’s Strangest Dictatorship?(フランス 2024年)

 大統領一族は「俺の国はすごい」とアピールしたがるような気がするので、そんな状況下で伝統の手芸を正しく伝えられるのだろうかとか、政治が文化の邪魔をする状況なのではないかと不安に思う。

 ミャンマーもどうなんだろう。母方の祖父は戦時に招集されてビルマに行き(入国したものの戦場に着く前に終戦になったそうだ)、1980年代に戦友とともにビルマを再訪した。その際に買ってきた土産物のひとつが、民族衣装を着て踊る女性の壁掛けだった。数ミリ程度の厚さしかないものだったが、黒い布地の中央に薄い木か竹を組み合わせて象った薄茶色の女性の姿があり、ひどく印象的だった。
 そういうものを国軍の兵士が作っているわけはないだろう。手工芸品を作っている人の多くは一般市民、もしかすると国軍が爆撃した村の住人も含まれているんじゃないのか。

 と、あれこれ考えるうちに暗い気持ちになってくるが、来週もし行けたらこれに行ってみようかと思う。

 来週どれだけ気力が残っているかなのだが、できればぜひ行きたい。共同主催者であるパレスチナ刺繍帯プロジェクトのアカウント(@palestinian_embroidery_obi)を見てみると、これは実物を見てみたいと思わせる。

 検索してみればいろんな国の手工芸品を見つけることはできるし、日本国内で販売しているサイトもある。が、検索するにあたってはまず「自分が調べたいと思う国」があるので、それでは自分の興味のある国に限定されてしまう。
 だからホビーショーのようにひとつの場所で様々な国のものを見ることができれば、こんなものもあるのかと大いに楽しめると思うのだが。