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我慢の限界

 極限まで我慢できなくなったため、夜中の3時くらいに久し振りにレース編みのドイリーを編み始めた。そのあと日中のあれやこれやで疲弊し切って、変なリズムで睡眠と覚醒を何度か繰り返し、どうにか頭がまともに動くようになってから残りを編み上げた。

 ドイリーというかモチーフだな、これは。こいつを敷物として使うなど論外。
 だが編み始めの段階ではこんなことはなかった。
 長いくさり編みが多用された、まあ、今の自分にはなかなかハードルの高いものだった。安定した編み目のためにはどこかに編みつけることが必要なのだと痛感した。指で支えるだけでは、自分の技量ではいくら頑張っても不安定で、同じ目数なのに長さがばらついてしまう。
 しかも今回はいつもの円形ではなく、正方形。よく考えればグラニースクエアだって正方形だが、こんなにスカスカしたものを編んでいると「かたちを四角に保つにはどうすればいいんだ?」と混乱してくる。

 という難しさがもう楽しいのなんのって。

 このあとのプロセスは引き上げ編みやパプコーン編みがたくさん出てくるのだが、非論理的で不合理で理不尽な仕事で疲れた頭ではさすがに挑戦できなかった。なので、疲れ切った挙げ句に変なリズムで寝たり起きたりを繰り返し、ようやく少しはまともに頭が動き始めたところで続きを再開。
 少し前のスカスカな編み地はいずこへ。たった3段でここまで濃くなるのか。あまりの変わりようにびっくりした。
 それで最後は縁の2段でひらひらとした装飾をつけるのだから、この緩急がたまらない。
 最初にドイリーを編んだときのような感じで楽しかった。そして難しかった。難しくて楽しい。完成したらピン打ちをしなくてもそれなりのかたちになるのも嬉しい。
 やはりレース編みは実用性を度外視できると実感した。ただただ、編むのが楽しい。編んでいるだけで楽しい。