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本屋に行ったら

 近所の書店では手芸本の配置が少しずつ変わっている。
 転居してきてから長いこと手芸本はフロアの端の方だったが、今年のはじめくらいにもう少し目立つところに移動しているうえ、編み物に関する本がずいぶん増えていた。ちょうど編み物ブームだと云われるようになってそれなりに時間が経った頃だったと思う。

 だが週末に久し振りに立ち寄ったところ、転居当時よりも更に端に寄っていた。ブーム終わったのか、と思った(実際そうなのかは不明だ)。
 ただ、編み物本が減ったわけではなく、同じ本が複数並んでいるのが印象に残った。もう少し目立つところに移動したときはいろんな本が1〜2冊ずつだったのが、今回は4冊くらい並んでいる本もあった。しかも、以前よりだいぶかぎ針編みの本が増えているように見えた。
 どういう基準で書架の配置や取り扱う本を決めているのだろうな。さっぱり意図が見えない。

 それでも、ついかぎ針編みの本でよさそうなものがあったので買ってしまった。
 なんだか見覚えがあるような、と帰宅してから調べてみたらやはりInstagramで見かけた本の翻訳だった。この手の本は今更という感じもあるのだけれど、店頭でしばらく読んでみて「知らない方法がそれなりに載っていそうだ」と判断した。
THE Knotty BOSSが教える かぎ針編みのひみつ - 株式会社日本文芸社

THE Knotty BOSSが教える かぎ針編みのひみつ - 株式会社日本文芸社

アンナ・レイジーナ 著

 わたしは店頭で内容を確認するときは基本的にざっとしか確認しない(というか中身を確認しないことの方が多い)。完全に無意識なのだが、自分は書店では買う気のする本しか手にとらないらしく、そうして買っても読んで後悔することはまずない。ネット通販でも外れはほとんどなくて、本ばかり読んできたからこその嗅覚でもあるのかもしれない。
 とはいえ手芸本に限っては、買ってから1〜2年くらいで「もう読まないな」と思う確率がけっこうあるようだ。かつて一読して(というか半分も読まないうちに)失敗したと思った本も手芸本だったので、直感的によいと思っても必ず中を確認するようにしている。

 で、今回は表紙の「裏技」という表現がどうにも気に入らなかったので、いつもよりじっくり確認した。裏技という言葉は胡散臭い。昔からあって本にすら載っていないほどに基本的とか当たり前な方法を裏技と称しているのでは、と疑いに疑って確認したという……我ながらめんどくさい性格だ。
 まだ断片的にしか読んでいないが、今のところこの本に不満はない。Instagramで見かける小技のまとめ的ではあるが、書籍の方が圧倒的に探しやすい身にはありがたい。また、あみぐるみについては興味深い説明もある。


 なお、写真に写っているもう一方の本はおそらく人生で2回くらい買い直しているSFである。最初に買った本は処分した記憶があり、そのあと買い直した方は父に貸したままなのか、処分したのか記憶が曖昧だ。たぶん処分したのではなかろうか。軽快すぎてもういいやとなったから最初の版は処分したわけで、買い直してまたもういいやとなった可能性はある。なのにまたもや買い直しているのだから、気軽に読める本は難しいな。
 カバーは昔のデザインの方が好みだが、まあ翻訳は同じ人なので中身なんか見ないで買った。
夏への扉〔新版〕

夏への扉〔新版〕

ぼくの飼い猫のピートは、冬になると「夏への扉」を探し始める。家にあるドアのどれか一つが、夏に通じていると固く信じているのだ。そして、ぼくもまた「夏への扉」を探していた。親友と恋人に裏切られ、冷凍睡眠で…

 ハインラインはSFの大御所だがあんまり惹かれる作品がない。王道すぎてちょっとな……というわけではなくて、単に物語として読みたいと思うことが少ないだけだ。それなのに『夏への扉』を読んだのはどういうわけか、記憶がない。読んでみたらおもしろかったのに、他の作品に興味がわかなかったのも謎。もし10歳くらいで読んでいたら、今頃はうちの本棚にハインラインの著作がずらっと並んでいただろうか。

 それはともかく、今度は「もういいや」と思っても3年くらい寝かせてから考えよう。