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完成しても色に悩む

 編みかけの呪いを恐れず、20番レース糸でドイリーを編んだ。

 今回はわたしでも理解できる英語だったし、おかしなところもなく、シンプルな編み方なので通常運転で編むことができた。編みかけの呪いなんて嘘だった!と思う。色合いが冴えないが。

 お手本では明るい黄色が使われているけれど、わたしが使ったのは黒みかがった黄色。オリムパスのサイトで確認したら色名は「ピスタッシュ」というピスタチオみたいな初耳の名前だった。もしかしたら「ピスタチオみたいな色」という意味なのかもしれない。でも、たぶんミックスナッツに混じっていたものを食べたことはあるがどれだかわからない。ミックスナッツにこんな色のものがなかったのは確かだから、加工する前の色なのだろう。ますますわからない。

 ともあれ、編んでみたら他の色とのコントラストでますます色は暗くなった。これはこれで悪くないと思うけれど、もうちょっとなんとかできるのでは、とも思う。
 まず朱色寄りの赤の明るさが強いので、ピスタッシュの黒みが引き立っているように見える。ならば青がもっと暗ければ逆にピスタッシュの黄色みが際立つではと思うが、却って黒みが青の暗さに引きずられそうな気もする。もはやピスタッシュは暗い黄色というより暗い蛍光黄緑にも見えてくる。

 実はこの色と赤は昨年のエミーグランデの新色だ。そのときのテーマは「大正ロマン」。同じテーマなのに黄色の暗さが際立ってしまうことに納得できなくて、もしかすると大正時代はこの暗い黄色が流行したのか?と悩んでしまった。
 大正時代はどちらかというと馴染みのある時代で、好きな作家や詩人たちが活躍していた時代はまさに大正。海外でも、特に愛好する画家や思想家の活動時期は大正時代に重なる。歴史についても前後の時代を理解するうえで重要な出来事がいくつかあり、こう書いてみると自分の関心が集中している時代である。
 が、「大正ロマン」はよく耳にしていながら色のイメージがわからない。本や映像で知る当時はどれも白黒だからだ。作家や詩人の著作は研究書にカラーで載っているが色遣いはうろ覚え。

 なのでもう大正ロマンにはこだわらずに改めて色合いについて考え、もしかすると青がまずいのかもしれないと思い当たった。赤と青の組み合わせ、赤とピスタッシュの組み合わせは違和感がないのだが、青とピスタッシュの組み合わせはなんだか微妙。落ち着かないのだ。
 今回使った青はダルマのレース糸である。他の2色がレトロなテーマの色であるのに対して、ダルマの青は現代風なのだろうか。ちなみに色名は「マリンブルー」(どこの海だ?)である。古めかしい青を使えば全体が馴染んだかもしれない。

 だが「古めかしい青」はどんな色だろう。他の2色に合うような青といって真っ先に頭に浮かんだのは藍色だが、和風という語から安易に連想しただけに思える。それに藍色は「大正時代のモダンな青」とは違うような気もしている。現代より古くて大正時代には新しかった青。どんなだ。
 前述のとおり大正時代の色彩に関する知識も資料もないし、苦し紛れに正倉院文様のクロスステッチ本を開いてみても当たり前だが別世界。古すぎだ。

 ……本を眺めて悩んでいたら天平カラーで編みたくなってきた。



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