編集

泥沼の気配

 手芸本を新たに買うときは、事前に気になっていたものでも書店でざっと見たら「やっぱりいいや」と棚に戻すことが多い。加えて、手芸本に関しては時間が経つと興味が失せる率が低くないと気づいて以来、買うことについてはだいぶ慎重になったので、あまり増えなくなった。

 それがここにきて、レース編みの本を買うことが増えた。またもや。
 もちろん、今いちばん興味のある分野なのであれこれと目を引かれてしまうけれど、きちんと吟味して選んでいる。なんでもいいわけじゃない。ちょっといいなという程度では買わない。「おおおなんだコレ」というものが載っていたらわりと買う。妙に複雑そうなものは……たいてい買う。

 (  ゚д゚)

 ボーゲンレースというものが「妙に複雑そうなもの」だということで興味がわき、いろいろ調べてみた。それでボーゲンレースは「ブリューゲルレース」と呼ばれることが多いとわかり、更に調べてみて見つかったのがこの記事。

レース編みのドイリー〈3〉ブレード模様のブリューゲル・レース・

 繊細な雰囲気とかそういうのはどうでもよくて、ボーゲンレースの作品が載っているうえに「かんたん・カワイイ」系の本ではないようだ、と判断して買ってしまった。
 ボーゲンレースの編み方は実は知らない。いろんなレース編み技法を集めた本で目にした「どうやって編むんだろコレ」というところから興味を持ち、そんなボーゲンレースの作品の編み方が載っている、というのが動機だ。いささか衝動的だったことは認める。

 その結果、……どうしたものか、という状況に陥った。

 先に挙げた記事にもあるとおり、編み図はとても見やすい。基本はかぎ針編みと同じなので、見やすい編み図と説明をきちんと読んで指示に従って編み進めればいい。
 ただしこの編み進め方がやや複雑なようで、ざっと編み図を見ただけではどう編んでいくのか、すぐにはわからなかった。なるほどこれは読み解き甲斐がある。

 しかも掲載作品はすべて40番レース糸をレース針6号(1.0mm)か8号(0.9mm)で編むとの指定。そのうえ21作品中、直径または一辺の長さが20cm未満は2作品、20cm以上30cm未満が2作品、残り17作品はすべて30cm以上である。最大は60cm。何その大きさ。しかも40番で。
 最小は17cmだが、これまで自分が40番で編んだ最大の作品は直径18cm……

 さすがに直径30cmを超えるドイリーには腰が引ける。最終段の1周が何目かということもだが、大きすぎるのもびびる。
 ほどく量に対する感覚はおかしくなりつつあるけれど、これから編むぞというものについてはまだ正常な感覚が残っているらしい。なんでそこの感覚が違うのか自分でもさっぱりわからないが、もしかして後者の感覚まで麻痺したらまた毛布を編みかねないので防衛本能がはたらいているのだろうか。

 ともあれ、大きすぎると思ったら細い糸で編めば完成作品のサイズを抑えられるが、40番でこの大きさなのだから、小さくするなら選択肢は60番レース糸。
 まだまだ自分には難易度の高い60番を使って、慣れない編み方のボーゲンレースを編むなどあまりに無茶だ。40番だっておぼつかないのに。

 こうなると難しいのはボーゲンレースというより、未体験の大きさとか代替手段の60番レース糸なのではなかろうか。あれ? ちょっと手の込んでいそうなボーゲンレースを編みたかったはずが、どうして直径30cm以上の大物とか60番レース糸への挑戦という話になったんだ?

 なぜ……

 もしやこれは60番レース糸と悪戦苦闘して、その結果「40番レース糸って太いよな」という新たな感覚の麻痺を体得するための天啓か?

 いや、よく見たらこの本、全部が全部ボーゲンレースなわけじゃないから改めてボーゲンレースの作品だけサイズを確認……いやもういいや。なんでもかまわん。全部は編まないがいろいろこの本から編んでやる。難しいって楽しい(やけくそ)。



新しい投稿はありません 前の投稿