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ノースリーブの簡易編み図を解読する・その3

 現在、ノースリーブはこのくらい。40段。袖ぐりの減らし目が始まる手前は残り60段ちょっと。まだ前身頃はゴム編みだけの状態で(ゴム編みだけ先に編んでおいた)、少し弱気になり始めた。いつできあがるのだろう、と。
 でもまあ、進まねえなと思いながら編んでいるうちに気がついたらけっこう進んでいた、っていうのが編み物だしな。
 なんというか(あくまでも自分の場合だが)、細かな進捗を把握しにくくて、「ここから一気に!」というのもあまりない。黙々と、淡々と編むしかない。ていうか、淡々と編んでりゃいいっていう。あ、だったらそのうちできあがるかあ。

 だいぶ前に挙げた自分向けの説明図について少し。
 線の下の数字は目数で、数字の下はゴム編みの最終段の編み目である。
 72目めの下に「(106-35)+1」とあるのは、最後の106目めから35目ぶん戻った位置を算出する計算式。こういう計算は今までの人生で必要になることがほとんどなかったので、単なる引き算をすると実際との差異が1だけ生じるのはわかるのだが、足すのか引くのかすぐには出てこない。だから敢えてここに、どうやって算出したのかをメモしたというわけだ。

 この程度のことを書き出してどうするんだと思わないでもない。というか、計算以前にこの図を書くこと自体がどうなのか。確かに2目しか増やさない今回においては、不要な作業だろう。
 が、これが今後に役立つと思っている。将来、分散増し目を要する何かを編む際に「こうやって計算して、結果をこういう図にする」という方法をどう書くかの一例みたいなものになるのだ。

 何を書き出さなきゃいけないかなんて、そのときになればおのずとわかるに違いない。だが、いろいろ書いてみて最終的に半分の情報だけで済んだ(つまり半分は書く必要もなかった)ということがないわけじゃない。
 ならば、あらかじめ「これをやるときはこれとこれを書いておけばOK」という枠組みを作っておけば、迷わず必要最低限のことだけ書けるというわけだ。

 編み物でいったい何をやっているのか。普通はこんなことやんないんだろうな(それを云ったらブログに書いている大半のことがそうかもだな……)。

 ただ、あの宿敵とも呼べる簡易編み図はこんな感じで完成されたのではないか?と思ったりする。あれこれ書いたけど結局これだけでよくね?の集大成があのわけわからん省略されすぎた図ではないかと。
 製図のプロセスがわからないので、書き方の適切さには納得できない部分だらけだが(製図のやり方を理解すれば納得いくのだろうか……)、こことここにこう書けばOKだぜな枠組みを作りたかった(のか?)のは理解できる。そうしたかった気持ちはよくわかる。でも、略され度合いがあまりに個人用メモなレベルものが世間の標準になったことは理解に苦しむ。昔はあのくらいで充分だったとかいう理由なのだろうが、あれでわかんなかった人はどうしていたんだろうな。


 余談だが、『毛糸だま』最新号(2024年夏号)に「編み方図の見方」というページが載っている。本の後半の、編み図がまとめて載っているセクションのいちばん最初のところに。
 1ページのみだが簡易編み図の基本的な説明と、襟・袖・肩は簡易編み図と詳細編み図を対照させた解説が載っている。手持ちの他の号には見当たらないので、もしかして以前わたしが大いに参考にした「毛糸だまの読み方指南」が好評だったとか、「毎回これを載せて欲しい」という要望が多く集まったのではないだろうか。

 そうだよ。いくらシンプルなメリヤス編みのセーターであっても、簡易編み図がわかんねえのよ。だから、編み物をする人が増えるために必要なのは「簡単に編める作品」ではなく「編み進め方を容易に理解できるもの」だと強く思う。
 簡単に編める作品がたくさんあっても、もうちょっと手応えがあるやつ編みたいな、と思ったときに簡易編み図を理解する手段がなければできなくて、かといってもう簡単なの編むの飽きたし、で編み物やめてもおかしくないじゃん?