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履き口から編む理由

2024/06/03
 もし靴下を編み慣れている人が昨日の投稿を読んだら、「つま先から編めばいいのになんで話をややこしくしているんだこいつは」くらいのことを考えたんじゃないかと思う。自分でもそう思う。が、つま先から編んだ靴下は去年のアルネ&カルロスのクリスマス靴下だけだ。しかも履くやつじゃなくて飾るやつで、つま先の出来に大変に自信がない仕上がりだった。
 なんでつま先から編まないのかというと、まずはアルネ&カルロスのやり方が難しかったからだ。

●How to do a closed toe cast on. The ARNE & CARLOS Sock Special


 クリスマス靴下はソックヤーンよりもずっと太い毛糸を使っているのに、5本針で作り目をするところからもう大変だった。どの棒針にかかっている糸を編んでいるのか見失いまくったし、そもそも棒針をどう支えればいいのかわからなくて非常に編みにくい。
 それでよく見た目に支障のないつま先を編めたなと思う。でも履いて外を歩く靴下で同じようにやったら悲惨な結果になるのもわかっている。当時よりは靴下編みに慣れてきたとはいっても、またあの苦労をするのかと思うと腰が引ける。

 ならばつま先から編む靴下で一般的に使われているであろうマジックループの方法でやればいいのだが、それに適した輪針がない。うちにある長めの輪針といったら3mm・4号・6号の3種類のみで、長さは40〜60cm。
 2.5mmの80cmくらいのやつを買ってくればいいのはわかっている。が、動画を見ているとコードを引っ張り出したり棒針部分を戻したりで、見ているだけでめんどくさい。もしこれが文字や写真の説明であれば「実際にやってみないとわかんないな」と思えるのだが、動画だと実際にやるとどうかというイメージがしやすいので、取り回しがとにかくめんどくさくて投げ出す自信がすごくある。

 慣れるまで頑張ればいいのかもしれない。編み物自体がひどくめんどくさいのに「こういうものだ」と受容できているのだから、マジックループだってそう思える日がくるかもしれない。

 だったらアルネ&カルロスのやり方を頑張るか……。

 難しさに懲りたけれど、一度はかたちにできたわけだし、棒針でできるようになればそれがいちばん手間がない。あるいはアルネ&カルロスの別のやり方(つま先部分はとじずに編み進め、最後にとじる)でもいいわけだし。

●How to sew the toe of the easiest sock in the world by ARNE & CARLOS



 じゃあつま先から編もうかな、と思ったが、最後に履き口を60目も始末しなければならないことを思い出したので今回はやめにした。それも両方だから合計120目。やる気が失せる。ゴム編みの作り目でシンカーループを合計60個拾う方がわたしには簡単だ。

 そもそも同時編みで50g玉をうまく靴下にできればいいだけで、微妙な残量のソックヤーンを靴下に仕上げるときと基本は同じである。今回うまくできれば、残量を気にしながら編む際に目安とするためのデータも増えるし、先を考えれば、敢えて従来の方法で試してみた方が都合がいいように思える。

 編み物はできるだけ合理的・効率的にやっていきたいと考えているというのに、まだ実際はこんなもんだ。最初の靴下を編み始めてからまだ1年も経っていないから情報もデータも足りない。
 いや、情報(技法とか)はいろいろあるのだが、目新しいあれこれに次々と手を出してしまうと何が自分にとって最適なのかを見極めるのが難しくなる。まずは今の方法を検証して工夫しながら少しずつ改善していって、それでもどうにもならない場合に別の方法を考えた方がいい。

 ろくに振り返りもせずに目新しい方法に飛びついて同じ失敗を繰り返すのはごめんだ、と思う。そんな例を今の仕事で嫌というほど見聞きしているので、仕事を離れた場所でもこんな風に考えてしまう。どうしようもない。