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糸を巻く

 詳細編み図が載っているのにそれでは編めない、という現実に驚いて、いらいらして、がっくりきた。仕事や所用で解読の時間もしばらくとれないこともあり、ならば編むしかない。停滞していたけれど、頑張ったらきちんとまとまった量を編めたのだ。今の自分にできることはわかる範囲を編み進めることである。少なくとも、それだけはできるのだ。

 そんなわけで、前身頃のメリヤス編み部分に着手。裾のゴム編みはうしろ身頃の分を編んだあとに編んでおいたので、ひたすらメリヤス編みを80段である。
 いま使っている毛糸は細身の俵状になっていて、幸いなことに糸端はあらかじめ外側に引き出して巻かれており、非常に扱いやすい。すべての毛糸はこう巻かれるべきだと主張したくなるほどだ。
 しかし、購入時の袋に入っていた分を開封して編み始めたら、過去に編んでほどいて巻き直した分とくらべると編みにくいように感じた。最初は撚りの強さに差でもあるのかと思ったのだが、長年(17年……)の袋詰めの圧迫状態がよろしくないのかもしれない。なので、糸の緊張をほぐすというか空気を含ませるというか、いったん巻き直してみることにした。

 我が家の糸巻き器。
 WPIを測る目盛り付きのすぐれものである。WPIは「1インチの幅に糸を巻きつけた場合の回数」を基準にしているようなので、ならば「糸を並べたら何本になるかがわかればいいんじゃね」と解釈した。そうであれば器具の直径は関係ないだろうし、角材でもなんでもいいのではないか、と。これが大いなる勘違いだとしてもまあ最終的にゲージとるし。

 とにかく、必要になったら押し入れから取り出して、筒の内側に糸端を垂らし、適当なところで切り込みに挟み、ぐるぐるやれば25g52mはすぐ終わる。
 直径が細いのでラップの芯よりも握りやすく、紙の適度なざらつきのおかげで毛糸が滑って抜けて飛んでいくこともない。両端に毛糸を巻きつけても取り回しに支障はないので、今後、編み込み模様を盛大にほどくことになっても安心である。

 以前、靴下を同時に編むために毛糸玉の中身を引っ張り出して分割するのに難儀したが(半分だけ取り出すのは難しい)、これを使って糸玉の残りが半分の重さになるまで巻けば簡単だったんでは?と気がついた。よし、次からはそうしよう。