不意の出来心

2024/09/25

　今日なんでまだ水曜日なんだろう……仕事が終わらない。いや、終わったんだけれど次やんなきゃいけないデータがまだこないので終わっていないも同然。だから、終わってないやつ先にくれと云いそうになる。仕事強盗かわたしは。ちなみに働くのは嫌いだ。

　せっかちなわけではなくて、ひたすらに「早いところ終わらせたい」というのが原動力になっている、と思う。「まだあれが残っている」というのが好きではないというか。だからおやつも基本的に一気食い。ポテトチップスの袋の口をクリップで留めることがあれば、それは食欲が減退するほど心身の調子が悪いということだ。

　おやつはともかくとして、編み物は早く完成させたい反面、この編む楽しさが長く続いてくれればいい、と思うことがある。あっこうなるのか、へえなるほど、これでこうだとはね、という具合におもしろければおもしろいほど、予想よりも早く完成してしまって複雑な気持ちになったりもする。

　ということは、長い時間を要するものが好きなのかというと、決してそういうわけではない。着るものは完成まで2〜3か月かかるが、このへんで勘弁してくれと思うことはよくある。けっこうある。

　では目新しいこと・なるほどと思うことが多いものなら時間を忘れるほど楽しみながら編み続けられるのかというと、それも違う。目新しい意味不明の編み図の解読は正直、畜生と思いながらやっている。

　感心するのも、楽しいとはいえ頭を働かせ続けているのでけっこう疲れる。まあ、しょっちゅう中断しつつもまた手を伸ばすので、放り出している時間が短くなりはするのだが。ただし頭は疲れるので喜ばしいことではない。

　かといって思考が止まる単調な作業がひたすら続くのも嫌気がさしたりする。

　では究極的には「適度な難易度で目をひくようなおもしろさがあり、疲れない程度に楽しさが続いて早く完成するもの」がよいのだろうか。

　たぶん何かしら不満を感じる部分は出てくるだろうな……

　1冊どこをとっても不満のない本やすべての曲が大好きなバンドというのはわずかながらもあるというのに、編み物はどうしてそういうわけにはいかないのか。いやまあ今まで読んだ本・聴いた音楽の量にくらべれば編んだものなど毛の先程度しかないのだから確率的にも当たり前なのだが。でもひとつくらい、本当に少しの不満で済むものがあってもいいんじゃないだろうか。

　こんな具合に無駄なことを延々と考えていたら、不意に「あれ編みたいな」と思った。

　いつ見つけたのか忘れてしまったが、最初に見かけたのはInstagramだった。どういうわけか、わたしの編み物アカウントはいかついおっさんや強面の兄ちゃんの編み物ライフがお勧めされる。そのハードコアな容姿はメインのアカウントで勧められたならば得心がいくのだが、なぜか編み物アカウントの方で「おまえこういうの好きだろ！」という事態になっている。何故だろう。

　白黒のブランケットというのはこのとき初めて目にしたと思う。それまで見かけた手編みのブランケットというと多色で柔らかい色合いのものがほとんどだったが、こいつは白黒でしかもこの模様。なんだかこんな感じのものを知っている気がするぞ、と思ったら、発想の源がスカだと知り納得した。はいはい。なるほどなるほど。

　シンプルなのだが気になってしょうがない。いつか編むかも、でも飽きるかも、でも編むかも、と花びらをブチブチとむしるような思考の迷路にはまっていた。それがここにきて急に「これ編むか」となったのはどういうわけか。

　ブランケットというと、よく考えずに編み始めて盛大に挫折した過去があったりする。敗因は糸選び。なので、この作品で使われている毛糸と似たような素材のものを選びたいところだが、ふと頭に浮かんだ毛糸を調べてみたら、同程度の太さでしかも値段が許容範囲内だと判明。ただしアクリル100%。

　模様の出方がコットン8割で編む場合とだいぶ変わるのでは？という懸念は、海外のアクリル100%で編んだ同じ作品を見つけて解決。イメージは損なわれていなかった。なので、あとは色も含めて試し編みで判断だ。

　とりあえず内藤商事のエブリデイなんとかという毛糸を調達しなければ。アクリルとは思えないような手触り（良い意味で）だというが実際どんなもんだろう。指定糸が50g130mなのに対してエブリデイなんとかは100g250mという絶妙なスペックなうえ、100g玉というのがこのバカでかいブランケットに最適だ。

　と、ここまで考えを巡らせてしまったんだから、編む意欲はそれなりにあるらしい。でも146x205cmだぞ。正気か。こんなでかいものをチマチマ編める性格じゃないはずなんだが。いや、チマチマしたことを延々とやりたいのかもしかして。自分がよくわからない。