本日は、初心者でもこんな凝った感じのものが編めるという話でも書くか。
いつだったか、毛糸の妙なラベルについて書いた。
あまりに強烈なラベルだったので肝心の作品についてほとんど触れなかったが、あの妙な毛糸はこういうものを編める編み図とセットで買った。

Lenten Rose Cowl pattern by Mari Tobita
The cowl is worked in the round in
うわ難しそうな凝った編み込み模様……
と思ったのに買ったのは身の程知らずが欲に負けたわけではなくて、「難しそうに見えるけれど編み方はすべり目でしかも一段で使う色はひとつだけ」(ゴム編み部分を除く)という説明を見たからである。毛糸のラベルも妙だがこの模様も奇妙な感じだ。かっちりとした模様ではないように思えるが、規則性は確かにあるし、何が何やらという具合にやけに印象深い。
しかも白黒。
これを編み始めてわかったのだが、わたしは白黒がかなり好きらしい。これだよこれと思いながら編んでいる始末。きれいな色のソックヤーンをうっかり買っていたのに結局はこうなのだ(なんだよまったく)。
その証拠に、白黒のセテスダール・コフタを見るとちょっと冷静ではなくなる。違う色でももちろん素晴らしいが白黒だともう最高である。表が美しいのは云うまでもないが、裏の糸が渡っている様もなんとも美しい。なんというか、白黒であの模様だともう何も欠点がないように感じられるのだ。
話が逸れた。
レンテンローズカウルである。白黒で、いやもう色の話はやめといて、編んでみたらすべり目が多くてぐいぐい進む。看板に偽りなしだ。すべり目の際に糸を前にもってきたりうしろにやったり、裏の糸の渡り具合にやや気を遣うが決して難しくはない。4目のパターンをひたすら繰り返すので、そういう意味でも初心者にはちょうどいいように思える。
しかも、まずゴム編み部分で「2目ごとに色を替える練習をしましょう」という感じなのがいい。そこで適度な糸の渡し具合の練習を存分にできるので、模様編みセクションでは「気にしながら編む」という癖付けがすっかりできあがっているというわけだ。
そういう具合に練習をしながらで、それでこの模様ってどういうことなんだ。半袖プルオーバーで模様編みに疲れてしばらくやんなくていいやと思ったのに、こんなものを体験してしまうと模様編みが楽しくなってくる。
かけ目を落として少しあとの段で拾い上げて、というのも新鮮で、とにかく小さな方法をいくつも体験できる。センスのある人ならばこの編み図に入っている小技を組み換えておもしろい模様が生み出せるのではないか。しかも編み方はちっとも難しくないやつ。
編んでいると、どうしても目がきつくなってしまう部分がちょいちょい出てくる。が、それでも変なことにはなっていないように見えるのも不思議だ。どこでバランスとっているのだろう。ちっともわからない。
模様の縦方向も疲れない程度の単位。ひとまとまりが終わったら色を入れ替えてまた同じ編み方をする。飽きたり疲れたりする前に区切りがくるし、でも適度にすぐには終わらない目数で、「飽きる前に」「疲れる前に」を計算して構成したんじゃないかとすら思えてくる。
今の自分に程よい内容の編み図、ということなのだろう。模様の編み始めは「これでいいのかな」と不安にもなったが、案外どうにかなるもんだと思った。
上記画像はちょうどカウルのきっかり半分を編み終えたところだ。
どんどん編めるので終わったときは残念な気持ちになるかもしれないが、なんとなく、そうはならないような気がしている。模様が終わればまた2色のゴム編みという別の楽しみがあり、疲れていやになる手前で完成するのではないだろうか。これはいいものを見つけたぞ。
なお、最初の何段かは毛糸のラベルに見つめられている気がしてちょっと落ち着かなかった。
気のせいなのだけれど、慣れるまでなかなか変な感じというか、違和感が。
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