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毛糸がない?

 うちには毛糸の在庫がそれなりにある。
 ……あくまでも一部。


 最近、ちらほらと「編み物ブームらしい」という話を目にする。ほほう。そうなると……何が良くなるのかよくわからんな。毛糸メーカーの利益が上がって新製品がいろいろ出たり、新たな毛糸メーカーの参入とかもあるのかな。出版社も同様で、更にいろいろ出版されるだろうか。

 くらいに思いながら、久し振りに近所の手芸店に立ち寄った。毛糸のコーナーは決して広くはないが、今頃こんなのが残っていたか、ということがたまにある。あと、大手メーカーの新作毛糸も少しばかりあるので、見るのはそれなりに楽しい。
 いつ見ても客は少ない。が、急に何かが必要になったときに近所に手芸店があるというのは便利だ。

 本日の目的は手芸店ではなく、近所の100均で新しいiPhone用のケースを買うことだ。最後に100均に行ったのいつだっけ、というくらい久し振り。
 目的のものはすぐ見つかって、でもついでなので、他のコーナーもいろいろ見てみることにした。じっくりではないが、さらっと。

 それで手芸コーナーに立ち寄ったところ、毛糸の棚がガラガラだった。もう入れ替え時期なのか?と思うくらいにガラガラ。米が高騰したときよりもガラガラ。
 まあ、入れ替えが近いから補充されていないのかもしれない。
 でも以前の入れ替えの時期は、ここまでガラガラではなかった。
 編み物ブームらしいという話が載っていたブログ記事に「100均では毛糸が品切れ状態らしい」という意味のことが書いてあったが、まさにそれだ。

 ……でもな、と思う。

 つい数分前に立ち寄った手芸店では、毛糸の棚はガラガラではなかった。品物の量はわたしが知っている状態と変わらなかったし、手頃な価格の毛糸もたくさん残っていた。編み針も品切れはなく、なんの変化もない。
 なのになんで100均だけこうなるのか。
 ブームってほんとか、というか、ブームの質というやつが違うような気がする。正しくは「編み物ブーム」ではなく「『100均毛糸を使った編み物』のブーム」なんじゃないのか。

 それだと、少なくとも大手毛糸メーカーの利益はそれほど上がらないよな……原料費高騰とかの要素もあるし、毛糸メーカーがブームの勢いに乗ってどどんと何かをやってくれるとは思えないし、毛糸が廃番になるペースもあまり落ちないような気がする。

 そう、毛糸が廃番になるのをもうちょっと遅くして欲しいと個人的に思うのだ。新しい毛糸を使った新作の提案もいいけれど、ひとつの毛糸であんなのもこんなのも編めるというのが知りたいと思う。
 材料のバリエーションを増やすのは簡単だが、ひとつの材料の様々な使い方がわかれば、いろんな応用ができると思うのだが。

 でも現実はそうじゃないので、代用をどうするのか、数年前の本とにらめっこしながら考えるしかないんだよな。使われている毛糸が特殊であればあるほど作品が一過性のものになってしまい、大変にもったいない気がする。