なかなか終わらない5段目をようやく編み終えた段階で、1目に3目ずつ編み入れていくフリルはこうなった。
なんだこれ。 フリルが玉になった。4段目を編み終えた時点では螺旋状にも思えたのに、もはや螺旋どころか何がどうなっているのかわからない謎のもしゃもしゃである。 編み始めがどうなっているのか、1〜3段目あたりをよく見てみようと広げてみた。
広がっているといえるのか、これは。 何が何やらなので説明を追加。 最初の段が30目くらいあれば端を持って横にのばせるのかもしれないが、これは1段目が3目なので無理。そして5段編むと勝手に玉になる。
1目に3目を編み入れるので、5段目の目数は3の5乗である。つまり243目。
いま編んでいるのは6段目なので、729目の予定。
もちろん1から順に数えながら編んでいるわけではなく、編み入れる目のひとつに対して「1・2・3」と数えるのをひたすら繰り返しているので、現時点でどのくらい編んでいるのかわからない。しかも編み地はフリフリなので、ぱっと見て進み具合がわかりにくい。無心で1目に3目を編み入れるのを繰り返していくだけである。
もはや何を目的としているのかさえ謎だ。なんでこんなもん編んでいるのかなと思う。
編み物を子供の頃に始めた人の話で「ひたすら鎖編みを編んでいた」というのを耳にするが、それと似ているのかもしれない。「ひたすら長編みを3目編み入れている」という。
鎖編みを編んでいた人は「そんなもん編んでどうするんだ」と振り返っていたが、このフリフリもまさに「こんなもん編んでどうするんだ」である。
しかも鎖編みはまだあやとりの紐にするとか何かしらの使い道はあるが、勝手に玉状になるフリルは何に使えるのだろう。猫に与えて戦闘意欲の発散ツールにするくらいだろうか。うちに猫いないけど。
そんな意味のないものなのに編む手が止まらない。729目はいつ終わるのか。
ふと、切りのいい10段まで編むかなと思った。でもそれは何目だろうか。
3の10乗。計算機を叩いたら59,049目。
万。
適当に本を開いて見つけたかぎ針編みのベストは、作り目が128目だった。
その幅で編み続けると、461段というベスト何人分だという数になる。
そんな目数がこのフリフリの玉の10段目。
正気じゃない。が、ちょっと気長にやってみるかと気のふれたことを考えている自分がいる。
ここから余談。
フリルというと「フリフリ」という表現がすぐ頭に浮かぶが、この「フリフリ」が頭に浮かぶと同時に「なんかそういう曲あったよな」と思った。
フリフリ85とかなんかそんな感じの変な曲だったはず。で、そんな変なタイトルつけるとすればサザンかな、と偏見めいたことを思いながら、とりあえず「フリフリ 曲」というタイトルで検索した。
そしたら、「フリフリ」とは、まさかのスパイダースの曲だった。
しかも「フリフリ'66」というのもスパイダースで、サザンは「フリフリ'65」。
30を過ぎてから急にグループサウンズがかっこいいと気がついて、気になったものを聴いたりしていた。でも早い段階でザ・ボルテイジというあまり有名ではないGSバンドにはまってしまったので、有名どころは実はよく知らない。
なんでザ・ボルテイジでおなかいっぱいになってしまったのかというと、わたしが関心をもつ機会のなかったR&Bをえらくかっこよく鳴らしていたからだ。唯一買ったアルバムはオーティス・レディングやジェームズ・ブラウンなどのカバー曲がほとんどだが、正直、わたしの耳では日本のバンドだとわからなかった。
●The Voltage - The Dock Of The Bay
というか、これがGSなのか?と思う。カバーとはいえ、というかまずカバーで全部英語って当時の日本でそれはありなのか?
不思議なのでGS世代の叔母に尋いてみたら、名前も知らなかった。ということはGSの世界でもインディーバンドみたいな立ち位置だったのかもしれない。一応、メジャーレーベルと契約したり、わりとGSっぽいオリジナル曲もあるにはあるが。
話をフリフリに戻すと、スパイダースといえば井上順と堺正章とムッシュかまやつがいたバンド、というくらいの認識。というかムッシュかまやつはカヒミ・カリィと共演していた妙に洒落たおっさん、という印象が強かったので、GSとイメージがぜんぜんつながらない。でもとりあえず「フリフリ」を聴いてみる。
●ザ・スパイダース 『フリフリ』 1965年
おお。こっちもガレージっぽくてかっこいいな。というか英語かよ。日本産の英語のロックは昔からあったんだな……。
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