編集

ほどき癖

2
 頑張ったよなーこれ。
 幅80cm超えで173目。
 わけのわからない基礎本の説明に苦しめられた模様編み。
 慣れない変わり糸。
 指定の量に対して大幅に足りなくなった毛糸。
 ほどいた。
 編み直す。

 シンプルな毛糸でシンプルな編み方、というわけでもないのにほどいた自分をどう判断すべきなのかわからない。向上心があるのとも違うし、努力家でもないし、怠惰でめんどくさがりで雑で適当でいいかげん。
 ただし納得いかないことには我慢がならないので、要するに「ちゃんとやったつもりなのにうまくいかない」という現実に不満なあまりほどいたということか。
 きつく編まないように意識したのが裏目に出たのか、なんなのか。原因がわからないが自分なりに考えて、それで結果がどうなるか見たいだけという意味のない実験根性なのかもしれないが。

 振り返ってみると、わりと安易にほどくことがそれなりにあったような気がする。
 直近だと変わり毛糸のチュニックがそうだし、その前は自分にまったく似合わない帽子もほどいた。あれは初めて編む編み方がうまくいったうえ、自分としてはかなりきれいに編めた。実際、ほどくときにまったく引っかからない(糸を割ったりしていない)ので少し惜しかったくらいだが、使わないのだからほどく以外の道はなかった。
 あとは深く考えずに編み始めたブランケット。かなりの大きさまで編んだのにほどいたな。あれは苦行だった。ちなみにいま編んでいるブランケットは指定の糸ではないが順調である。
 靴下も、慣れない編み方のかかとがどう工夫をしても穴があくので両足分のかかとをほどいたり、別糸を使うゴム編みの作り目がうまくいかなくて7回くらい連続でやり直したり。

 なんというか、「せっかくそこまで頑張ったのに」というときにほどいているような。

 納得いかないまま編むことほど無意味なことはないので別にいいのだが、これからはせめて、「そこまで頑張ったのに」のずっと手前のところでほどけるようになりたい。途中で「駄目じゃねコレ?」と気づけよ、という話。