何年か前のSFで『折りたたみ北京』というのがあって、ちょっと読んでみたいと思いながらこんなに時間が経ってしまった。未だ『三体』も読んでいないし。社会主義国のSFというとロシアのペレーヴィンやソ連のストルガツキイ兄弟やポーランドのレム、とおもしろい作品を書く作家の名前がすぐに出るのでならば中国も、と思うのになんだか読みそびれて今に至る。
その代わりにというわけではないが、折りたたみのはさみを買った。
編み物用のはさみはあるのに、遂に買ってしまった。1,100円だったのではさみとしては高級品だが、折りたたみという特性があるからまあいいや。どう読んでもこの英文は使い方の説明として理解することができなかった。いやこれ間違いなく使い方は書かれていないだろ。ラベルの下か?と思ったけれど見え隠れするのはドイツ語。
刃物なので気をつけながら適当に横に引っ張ってみた。
指を入れるであろう部分の内側に出っ張っていた部分が外側に出たので、もう片方も引っ張った。 ほほう。 なるほど。 切れ味は普通。
刃と持ち手(?)の境目あたりはこうなっていて、刃の先端が持ち手の切り込み部分に格納できるようになっている。
短い金属部分はストッパーになっているようで、元のコンパクトな状態に戻すときは、この部分を押さえると持ち手の内側に移動させやすくなる仕様。 なかなかおもしろい。刃先をしまっているとはさみには見えないので、変わったキーホルダーのふりをさせて飛行機に持ち込むこともできそうだ。って、危ないなそういう意味では。保安検査の担当者はこういう「持ち込み禁止物に見えないもの」について情報収集しっかりやった方がいいんじゃないか。
それはともあれ、この折りたたみはさみ。
そう、「折りたたみ」はさみなのである。念のため検索してみたが、日本の販売サイトではこの表現しか見つからなかった。
が。
たたんでいない。
自分の動作を振り返っても、「たたむ」という動作をした記憶はない。すべらせ引き出して、押し込んで戻した。一瞬たりともたたんでいない。
メーカーの商品名は "RAINBOW FOLDING SCISSORS" だった。洋服をたたむときにも "fold" という動詞を使うようなので翻訳も「折りたたみ」なんだろうけれど、たたんでいないのに折りたたみ。釈然としない。
あまりに釈然としないので『折りたたみ北京』買ってこよう。SFだから間違いなく北京を物理的に折りたたむ。想像するだけでなんだか楽しそう。だからSFはやめられない。

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー
三層に分かれた折りたたみ式の北京を描いた表題作、中国に史上初のヒューゴー賞をもたらした「円」など7作家の13作品を、『紙の動物園』著者のケン・リュウが選び収録。いま一番SFが熱い国・中国の粋を集めたア…
コメントを投稿
別ページに移動します2 件のコメント (新着順)
えっ、こういうはさみ昔からあるんですね!最近の発明(?)かと思っていました。今度うちの親に見せてみよう。
『三体』やっぱおもしろいんですね〜。たとえでそれがよくわかりました。さすが中国だけに発想がどでかいんだな、と。『折りたたみ北京』と一緒に買ってこようかしら。
このハサミ、小学生のころ親が持ってました。自分でも買って車に置いてます😆
三体!!次ぜひ読んでみてください。あまりのスケールのでかさに読みながら目が丸くなりましたw
例えていうなら茨城の牛久大仏(身長100メートル)みたいな巨大なものが遠くから見えてきた時の周りの景色との縮尺のおかしい時のうすら怖い感じの何十倍、という微妙な例えしか浮かびませんが😂私はかなり衝撃を受けました。