タティングレースについては、関心を持つ前からすでに「難しい」とか「挫折した」という話をよく見聞きしていた。編み物関係でも似たような言葉は目にするのだが、どういうわけかタティングレースになるとこういった言葉との遭遇率がぐっと上がる。しかも、情報に触れる(=検索したり雑誌で目にしたり)機会はタティングレースの方が編み物よりもずっと少ないというのに。
どういうことなのかと疑問に思い、タティングレースがどう難しいのか調べてみた。
それをまとめてみると、「最初は誰かに教わった方がいい。本だけで習得するのは難しい。ただし今は動画がたくさんあるのでそれを見れば少しは違うかも」ということらしい。
だがこれは編み物でも同様のことが云えるのではないだろうか。昨今の編み物ブームの一因として初心者向け解説動画が増えたことが挙げられるくらいだし、静止画ではなく動画の方が理解が進む確率が上がる、という点ではタティングレースも同じだろう。
なのになぜ、軽く調べただけでタティングレースは難しさばかりが目につくのか。
自分に限って云えば以前も書いた通り、裁縫をするときに頻繁に糸がからまる、意図せぬ場所で玉結びができる、といった点がタティングレースへの不安につながっている。ろくに糸のコントロールができないのに、糸をからめて結ぶことにより目をつくっていくタティングレースなんかできるわけねえだろ、というわけだ。
でもそういったことが理由でタティングレースが難しい、という話は今のところ目にしたことがない。裁縫のときに糸で苦戦などしないのが普通なのか、タティングレースとそれはまったく別の話ということなのか。
ともあれ、とにかく難しいらしいというタティングレースに挑戦してみた。周囲に教えてくれる人もいないし、教室もないし、動画でものを学ぶのが不向きなので基礎本を頼りにやってみる。
まずは基本を写真入りの解説でじっくりと読み込む。整理すると、
・シャトルに巻いた糸は「芯糸」になる
・左手にかけた別の糸を芯糸に結びつけることで、目ができる
・結びつけ方を変えることで「表目」と「裏目」の2種類ができる
・表目1目と裏目1目のセットが「ダブルステッチ1目」になる
ということらしい。シャトルに巻いた糸だけで目をつくるというかなんかそんな感じの方法もあるらしいが、それは後日やるときにきちんと理解するとしよう。
それにしても、表目1目+裏目1目=ダブルステッチ1目って……いきなり混乱させるような定義だなこれ。使われている単位が同じなので「1+1=1」になっているせいだな。よし、勝手に「表結び+裏結び=ダブルステッチ1目」と解することにしよう。
結び方は、シャトルを左手の糸の上をくぐらせるか、下をくぐらせるかによって変わるという。これも最初は「やりやすい方(わたしの場合は糸の下をくぐらせる方)が表結び」という覚え方をしていたが、そのうち、棒針編みに置き換えて覚えた。表目は棒針にかかった目の下の方から針を入れ、裏目は横から、つまり表目を編むときよりも上の位置から針を入れるので、それと同じだなという理解の仕方。
こじつけみたいだが、自分のなかで理屈が通って覚えられればなんでもいいのである。
で、人生初のタティングレースはこうなった(芯糸は白)。
拡大するとこう。 最初の2目……いや3目か?は、見事に芯糸と表に出る糸がひっくり返っている。ついでに云うと目の向きもひっくり返っており、典型的な失敗例。 これは「目を移す」という手順をしくじったことによる。どうもこの「目を移す」の理解が、タティングレース初心者には難しいらしい。いや、たまたまそういう言説をネットで見ただけなので、これが本当に難しさの原因なのかは不明だが。
まあでも実際、目の移し方を理解していなかったから失敗したわけなので、改めて基礎本をじっくり眺めて目を移動する前・移動したあとの違いを確認。それで慎重にやってみたら、上記の画像のように途中からまともな目ができた。
わたしの理解の仕方は、「どっちの糸がもう一方にからみついているか」で判断できる、というものだ。
まず、シャトル(白い糸)を左手の糸(青緑の糸)に通したあとの糸のからまり方はこうだ。
左手の糸がぴんと張っていて、そこに白い糸がからみついている。 この状態から左手の糸をゆるめ、逆に白い糸をぴんと張るとこうなる。
青緑の糸が先ほどとは変わって曲線を描き、白い糸にからみついている。この状態で糸を引き締めれば、まともな目ができるというわけだ。
果たしてこういう理解が正しいのかどうかはともあれ、きちんと目指す色かたちの目ができたのでこれでいいんじゃね?と都合よく解釈してしばらく目をつくり続けた。
で、勘どころが掴めた気がするのでいったんほどく。
そんでまた最初からやり直し。 たぶんこれでいいような気がする。本の写真とくらべてみても、とりたてて違うところはないし。 目はできたけれどまだ問題はある。
糸を引き締めるときの糸の角度がどうもまずいような気がするのだ。Instagramで見かけた動画では右手を左右に動かしているだけに見えたが、わたしはもちろんそんなスムーズに目をつくっていけるはずもなく、引き締めるときは芯糸を右手で文字通り握っている。残念なことに本にはこのときの右手の様子が写っていないが、少なくとも、スムーズに手を動かすならば握って引き締めるのは駄目なんだろうなと思う。
そこで役に立つのが動画。
なのだろうが、どうだろうな……引き締めるときに右手がどうなっているかなんて、意外と問題にされていないんじゃなかろうか。
というのも、もしそれがそれなりに重要であれば本に載っているだろうし、わたしはどうも人が気にしない部分でつまづく傾向があるようなので(たとえばメリヤスはぎは目に糸を通す順序よりも、とじ針に通した糸が棒針の上を通るか下を通るかがわからず、その点について注記をしている説明も見つけられなかった)、情報を探してもまずそんなもんは出てこないような気がする。
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