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不満たらたらの酔っ払い

 雑誌に載っていた「金票40番で編むモチーフ」をエミーグランデのものと同一だと勘違いしていたので、改めて、金票40番用のモチーフを編んだ。
 ぜんぜん納得いかねえ……

 写真の撮り方が悪くて影が邪魔をしていることをさっ引いても、なんだこれ。かたちになっているとはいっても、目のきつさがバラバラで弧の長さも一定ではないし、ピコゲージ代わりに使ったとじ針で揃えたピコも整然とした印象がまったくない。色のせいで余計にそう見えるのか、と原因を他に求める気すら起きないほど。
 とにかく全体的に乱雑。おまけに、以前編んだもの以上に編み地はへろへろ。なんだこれ。

 タティングレースの本に載っているはどれもこれも美麗というかそんな形容がされるようなものばかりで、そもそもいったい、なんでそんなもん編んでいるんだろうな?
 まあ、編むのがおもしろそうだから、というのがいちばんの動機。完成させたものをどうするかなんて考えちゃいなかったし、しかし、へたくそなもので満足できるタチでもない。つまり、趣味に合わないがそこそこ出来のよいものを編みたかったわけで。

 でもひたすらノリのいいロックンロールを聴きながら編んでいたら、美麗だの上品だのは投げ捨てて、なんかこのやり方でめちゃくちゃかっこいいものができやしないか?という気分になってきた。世界のどこにこんなもん着る奴がいるんだよというレベルで変な模様の服を着ていてもかっこよく見えたりするのがロックンロールなんだから、とくに形状が気に入っているわけでもないこいつもうまい具合に趣味に合うようにできないものか。

 と、うわごととたわごとを混ぜ合わせたようなことを思いながら、好き勝手にやるためにまずは基礎を固めるべく地味に練習する日々だ。タガが外れてまとめて多色を買い込んだエミーグランデを120cmずつ使っているおかげで、色とりどりの色で練習できている。

 こう書くと真面目にやっているようだが、実際は酔っ払った頭でロックンロールのDVDを観ながら手元も見ずにほぼ感覚だけで編んでいる。特別好きな曲のときはぼそぼそと歌詞を口ずさみながらノリノリでろくに細部なんか見ちゃいないし、ある意味、かぎ針や棒針を使った編み物のときよりもかなり自由で気楽に無神経でやれている。
 ミドルテンポの曲が多いので、リズムに合わせて身体を揺らしながらタティングレースを編む酔っ払い。せっかくとじ針をピコゲージとして使えるとわかったのに、いちいちそんなの使ってられるかということで目測でピコを作っている。もちろん、酔っているのでいつにも増して適当になっているわけで、今はまだピコを作るときくらいは手元を見ているが、そのうち見なくなるような気もする。
 ちなみに練習用のモチーフは適当に作った。「たぶんこれでかたちになるんじゃね」と、毎度お馴染みの適当さでもってやったら見たことがあるような気がするかたちになったので、複雑なデザインも案外こういうシンプルなものの組み合わせなんだろうなと思う。