編集

糸の上下

 編み込み模様では「目立たせたい色の糸を下にして編む」のがセオリーだという。だがそれはあくまでも一般論であって、それがちっとも通用しない場合もある。たとえば昨年のアドベント靴下
 白い糸を上にしようと下にしようと見た目はほとんど同じで、それはもしかすると編み方による目のきつさ(左手の糸はノルウェー式、右手の糸は糸を持ってかけるアメリカ式)が同じなのかも、という意見をいただいた。実際、大きなものを編むときに最初がノルウェー式、編み地が重くなってきたら糸を持ってかけるアメリカ式で編んでも、どこから編み方が変わったのかわからない始末だ。
 癖が強いんだか皆無なんだか判断しかねるが、セオリー通りにやってぜんぜん意味をなさないというのは面倒な話でもある。「目立たせたいときはどう編めばいいのか」という疑問は未だ解消していないのだ。

 それが今回、久し振りに編み込み模様を編んでいたら意外なことが起きていた。
 ガザの靴下は黒を下にして編んでいる。目立たせたい色が黒だからそうしているわけだが、どっちが上でも下でも同じだろというのもわかっている。わかっているが、糸がからまないよう位置を決めておいた方が都合がいい。

 ガセットは白と黒を1目ずつ交互に編む模様で、特に何も考えずに糸の上下は変えずに黒が下の状態で編み続けた。段が進むにつれて模様らしくなってきて、やっぱ白黒いいよなあ、などと考えていたのだが。
 ふと見たパターンの写真では、白が目立っているように見える。それに対して自分の靴下は黒が強い。

 やっと「目立たせる色の糸は下」が少しばかり効果を発揮したのか?

 左足のこの部分は糸の上下を変えて検証してみるか、とも思ったがやめた。もしそうだったとしたら、この部分では白が下、金網のような模様部分は黒を下、といちいち上下を変えなければならないのだ。はっきり云う。めんどくせえ。

 まあ、パターンの写真は目のきつさが違うだろうし、ブロッキングしたあとだろうし、いろんな面でいま自分が編んでいる靴下とは状況が違うのだ。ならば左足も今まで通りに編んで、完成したあとどうなったか確かめればいい。

 それにアドベント靴下のときとは違う糸だ。
 果たしてどこまで「よくある話」なのか知らないが、自分の場合は糸が違うと結果が違うことがある。たとえば、あるソックヤーンではK2togはきれいだけれどSSKが微妙な出来になり、別のソックヤーンではSSKがきれいでK2togが汚くなる。更に、同じメーカーのソックヤーンでも単色と段染めとで異なった結果が出たりする。
 原因は糸の違いなのか、それとも自分の編み方が不安定なのか。どちらであれ、「以前はこうだったから今回もこう」とは限らない。

 だからまあ……出たとこ勝負、ってことか。
 編みながら「今回はこういう傾向があるからこうしよう」とか、微調整が必要なのかもしれない。まあ、調整が必要になるほど繊細なものは編まないが。


新しい投稿はありません 前の投稿