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変だからいい

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 工夫してもやっぱり編みにくかったキウイがようやく完成。

 段数自体は少ないので、編みにくいけれどうさぎやわにより早く仕上がった気がする。

 それにしても……
 小さい。

 もうちょっと大きめを想像していたのだけれど、このシリーズはわりと小さい。
 というか、うさぎもわにも握るのにちょうどいいサイズ。
 わには自分用に編んだのだが、後に叔父が入院した際、処置などで苦しいときに握る用として里子に出した。叔父の娘である従妹によれば、拘縮した手に握る用途にもちょうどよかったそうだ。

 わにを叔父のところへ送り出した理由は他にもいくつかあるが、看護師さんたちの興味を引いたというのは狙い通りだった(叔父曰く「人気がある」とのこと)。
 こういう変カワイイとでも呼べる容貌のあみぐるみは、色のせいもあって病室で目につきやすい。だから訪室した看護師さんが、これをきっかけに叔父に声をかける機会が増えればいいと思ったのだ。

 他人と話すのが不得手な自分が介護職だったとき、入居者さまの持ち物を話の糸口にすることが多かった。ご自身が昔から大事にしてきたもの、ご家族が持ってきたものなど、そこから話を広げていくことで「会話する」という重要な仕事をしていた(それがゆえに、室内にほとんど何も飾らない入居者さまに対しては別の方法を考えなければならず難しかったのだが)。
 自分のような看護師さんがいたにせよいなかったにせよ、あみぐるみが話題にのぼることはあったようなので、少しくらいは役に立ったのではないかと思いたい。

 それで、キウイ。
 こいつも色合いはもちろん、変わった風貌だから目を引くよなあ。見た瞬間にまず「何これ」と思わせる。特定のキャラクターだと好き嫌いはあるが、こういう何者でもないあみぐるみは却って万人受けがいいのではないだろうか。

 最後に余談。
 このデザイナーさんの本が最近出版された。
かぎ針編みの動物バッグとポーチ

かぎ針編みの動物バッグとポーチ

大人が持てるミニマルデザインの動物モチーフのバッグと、持ち歩いて癒される顔のついたあみぐるみタイプのポーチを提案。大人気のねこバッグのバリエーションのバッグとポーチ、シロクマやキツネなどのフェイスバッグ&がまぐち、ひつじやライオンのサークル...

 バッグに興味はないので気にしていなかったのだが、キウイの背中にジッパーをつけたポーチが載っていると偶然知った。ならば中長編みの玉編みの編み方の詳しい説明があるのでは?と思ったけれど、それだけのために買うわけにもいかないし、でも気になるし。どうしたもんだろう。
 と逡巡していたところ、近所の手芸屋で本を見つけたのでいざ手にとって確認してみたら……編み地はこま編みで拍子抜け。

 編みにくいとはいってもこのキウイに中長編みの玉編みというのはぴったりだと思うのだが。まあ、こま編みでも充分にかわいいのだろう。写真は確かにかわいいし。それにポーチなのだから、下手に厚みがあるのは好ましくないということか。