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レース糸の糸(色)見本

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 タティングレースの練習モチーフを糸見本(色見本)に仕立て上げるという目論見は、現在こんな感じになっている。
 以前このことについて書いたときに「アルバムにひとつずつ挟んではどうか」というアドバイスをいただき、なるほどそれは名案と思って近所の100均に行ったところ、これが目に入ったのだ。
 たぶん大きめの単語帳。

 ……「たぶん」というのは学生時代に単語帳を使った記憶がほとんどないからで、でも世界史の何かを覚えるときに自転車に乗りながらちらちら見た記憶はあって、ならばこのサイズではハンドルに指を絡めながら持つにしては少し大きすぎるかな、と。だから「たぶん大きめ」。まあそれはいいや。
 あまり小さいとモチーフがはみ出してしまうため、このくらいがちょうどいいだろうと考えた。そして実際、誂えたようにぴったり。
 なぜ単語帳でいいやと思えたのかというと、リングでまとまっており、かつ簡単にばらせるからだ。
 とはいえこのプラスチックのリングは扱いにくい代物だったので、そのうちなんとかしよう。

 と、ここまではよかったのだが。
 ……レース糸って、平らに重ねるとけっこう厚みが出るものなんだな。
 こうなってしまうと、これを小さいポケットのアルバムに入れるしかないだろうか。だが糸が増えればアルバムの厚みも増すということで、それはそれで扱いにくくなりそうだ。うっかり取り落として中味をぶちまける未来がぼんやり見える。

 いや、ぶちまける前にそうしてしまうのはどうだ?
 微妙にクリムトっぽい気配のする菓子の空き箱。以前は使い終わった毛糸のラベルを放り込んでいたもので、あるとき「別にラベルを取っておく必要はないよな」と気がついてラベルを処分してから空いたままになっていたのだ。空いた時点で処分すればいいのに、こうやってあとで役に立ってしまうのだからタチが悪い。いや、悪いのは自分か。

 ともあれ、最初から乱雑に入っていればたとえ箱をひっくり返しても諦めがつく。色選びをするときも、箱をバーンとひっくり返して中味をぶちまけて「どれにしようかな」とやれるのだ。

 わたしはものを収納するときにパズルのようにきれいにはめ込んでしまう性格なのだが、無駄なものまでもきっちり収納してしまえるので我ながら気に入らない。
 どうしようもなく散らかってしまえばいいかげん嫌気がさして片づけるのに、下手に片付いてしまうと、嫌気がさす機会を失っていつまでも無駄なものに囲まれる羽目になるのだ。狭い部屋に住むうえで大変有用な能力なのは確かだが、きれいにしまい込む前にいらないものを処分すれば済む。なぜ無駄な労をとるのか?

 なので今回は、きちんと揃えて箱に入れることもしなかった。もし蓋が閉まらなくなることがあれば、それは何かがおかしいのである。改めて中身を見直し、やはり必要だというなら他の収納方法を考えればよいし、不要なものが混ざっていれば処分すればよい。

 糸見本に限らず、他のものも乱雑に置いてもOKな状態にしないとだな……本とレコードとCDはどうしようもないんだから、それ以外のところを減らしていかないと次に引っ越すときに恐ろしい事態になりそうだ。