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既製品の観察

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 寒くなるとタートルネックのニットの上にこの上着を着ることが多い。
 24年前に買ったこのニット、袖が長いうえにシルエットはタイトなので大変気に入っている。とりわけ裾はジッパーを閉じれば容赦なくぴったりで、もしこれが色褪せるなどして着られなくなったらまったく同じものを編もう、と編み物にまったく関心がないときから思っていたくらい気に入っている。

 先日、Macに向かっているときにふと袖口が目にとまり、なんとなく袖の端を眺めてみた。
 表3・裏1の変則ゴム編み。目の方向をみると、袖口から肩に向かって編み進めているようだ。
 こういう変則ゴム編みって作り目どうやってるんだろ、と思って更によく眺めてみると、別糸を使った1目ゴム編みの作り目のように見える。
 表目の1目めと3目めの端は表目、表目の2目めと裏目の部分の端は裏目にしか見えない。へえ、既製品はこうやってるのか。

 では、別糸の作り目で生じる段差はどうやって解決しているのか?
 これは輪編みの構造を考えるとどうしようもないのだと思うが、既製品はどう解決しているのか。
 とじ合わせ……確かにこれなら段差は解消されるな。

 ちなみにこの服、袖も平たく編んでとじ合わせており、左右の前身頃と後ろ身頃もとじ合わせている。24年着ても型崩れしないのはそのせいか? それとも素材のせいか?
 ずっとこの上着はウールか、ウールと何かの混紡だと思い込んでいたのだが、今になってそうではないと知った。
 まさかのコットン。コットンでも暖かいとは……