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溝に悩む・後篇

2024/03/29

 目数リングなり段数マーカーなりを入れて編むと溝ができる。
 これは少なくとも自分の場合、マーカー類自体の厚みだけが問題なのではなく、「マーカー類がない場合と同様には編めない」ということが大きな要因だと思う。
 ちょっと邪魔だなと感じたらそれでもう手の加減が狂って溝ができてしまうわけである。

 細い針金状のダルマピンで実際に溝ができたり目がゆるんだりしたのだから間違いない。ダルマピンですら、編み目の間にいると編みづらいのだ。

 しかし以下のような使い方をする場合、

 針金の細さのおかげで中細毛糸の編み地にするりと入っていくのでとてもよい。

 更に説明すると、靴下を編み始めて2段目でもう目印をつける理由はただひとつ。どちらが表(外側)なのかを明確にしておかないと、逆方向に編みかねないから。
 どこまで間抜けなんだという話だが、どこまでも間抜けなのが初心者の証。なぜそんなことに?ということを平気でやらかすのが真の初心者。というか粗忽者。糸玉につながる糸がどっち側にあるのかなんて見落としてもちっとも変ではない。
 ただし、この世の大半を占めているのはもっとまともな初心者だと思われる。

 というわけで粗忽者にとって目数リングや段数マーカーは命綱とすらいえるのだが、それによって溝がうまれてしまうこともどうにか解決しなきゃいけない。ただ間違えなければいいわけではなく、出来栄えだってきちんとしたいのだ。云うまでもなく。

 なので必死で考えた。

 わけではなく、たまたま携帯ストラップが目についた。


 小ぶりで洒落た目数リングでも邪魔になる始末である。

 しかし、なんといっても携帯ストラップは細い糸。編んでいて邪魔になる筈がない。毛糸にからむ素材でもないので、水色の糸が茶色のセーターのあちこちに!ということもない。
 敢えて長めのストラップを使用しているので、重り代わりのプラスチックビーズも邪魔をしない。プラプラして邪魔なときは、輪に編んでいるなら輪の内側に放り込んでしまえばそれで済む。
 そのうえ見た目もまあそれなりのかわいさである。チェコビーズでも通せば更に見栄えがいいだろう。
 飾りがなくても、紐の色違いを使えばいくらでも使い分けが可能。
 こんなに便利な紐が長めの携帯ストラップがなぜ目数リングとして販売されていないのか?



普通は一般的な目数リングでも支障なく編めるからなんだろうな……