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休まずに靴下

 靴下は編んだらすぐ履く。文字通り、糸始末を終えて記録として写真を撮ったらもう履く。

 今回は棒針の境目にできてしまった溝が目立ち、さすがにちょっと隠したくなってぬれタオルとアイロンをかけたが、普段はそんなことすらしない。手で軽くならすだけ。それで写真を撮り、履く。

 一般的には、編んだあとは水通しをしてソックブロッカーに履かせて乾かしたり、スチームアイロンをかけるなどの手順を踏むようだ(水通し後の作業はどちらか一方なのか両方なのかわからない)。
 だから最初の靴下を編んだときもそうしなければならない気がしたのだが、できあがったら嬉しくてすぐ履いた。
 片方が編めた時点でものすごく浮かれて何度も履いたり脱いだりする始末だったので、両方そろったならば水通しなどをして乾くのを待てるはずもない。どうせ洗濯するときに存分に水を通すじゃないか。

 ちなみに、浮かれて舞い上がるほど喜んだわりに、手洗いという発想もなかった。だって靴下だもの。毎回手洗いをできるような時間の余裕などない暮らし向きだし。洗濯機にぶち込んでパーになったらそれがその靴下の運命である。洗濯ネットという気遣い以上を必要とする靴下に用はない。ていうか、まだそんな繊細な代物など編めんわ。

 そんな靴下、今回が7足目(7組目というのかな)である。うち1足(1組)は母へのプレゼントなので自分用は6足(6組)。
 たいへん恐ろしいことに、市販の靴下を履く機会が激減した。色柄や素材や長さなどをためつすがめつして選び抜いた市販の靴下(安い)そっちのけで、「手編み」ということ以外のアピールポイントがない靴下ばかり履いている有り様だ。

 履くために厳選した靴下をたんすの肥やしにしてどうする。こんなもったいないことをしないよう自重せねばと思う。
 思うのだが、いつの間にか増えたソックヤーンもまた押し入れの肥やしにするわけにもいかない。

 そんなわけで。
 靴下を編んだらすぐ履くのと同様に、最近は1日もおかずに次の靴下の作り目をしてしまう。押し入れの肥やしがたんすの肥やしを生むだけじゃねーかと思うが、まあ、とりあえず市販の靴下は久しく買っていないので増えはしない。

 だが、押し入れの肥やしからたんすの肥やしに変貌しない程度のところで靴下編みは止めなければならないな、とは思う。1か月間まいにち違う靴下を履く、という大名みたいな暮らしをしてみるのもおもしろそうだが、31セットの靴下を収納することを考えるとめまいがするな。