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 母親と叔母に連れられて(?)広島県に行ってきた。
 いちばんの目的地は宮島の厳島神社、その次が(向かう途中の新幹線のなかで判明したのだが)広島修道大学内の吉田拓郎の歌碑。そんなもんあるのかと思ったらほんとにあった。
 現代ならでは、なんだろうか。まあいいや。

 吉田拓郎に関心はないけれど、厳島神社は平清盛絡みでとても行きたかったところなので、行ってよかった。
 平清盛については昔は関心がなかったのだが、10年ほど前の大河ドラマが大変におもしろいものだったので一気に似非専門家レベルになるほどのめり込んだ。
 ちなみにわたしは歴史自体は子供の頃から大好きなのだが、日本史のちょんまげと刀の時代は空白地帯である。武士ほどつまらないものはない、ということで平安時代のあとから明治維新までは驚くほど何も知らない(ただし蘭学が絡むことは妙に詳しかったり……)。なので、源平のあれこれの時代も興味がなかったのだが、平清盛あたりはぎりぎり平安文化が残っているので大河ドラマの描写が大変に興味深かった。

 といっても、神社はもろに観光スポットと化していて大変に戸惑った。わたしは信仰のかけらもない人間だが神的なものには敬意を払うというか、そういうものの存在は自分なりにきちんと認識しているつもりなので、なんだかいろいろと落ち着かなかった。
 まあ、神様とやらは大きな懐で観光スポット化を受容しているとは思うのだが。

 そのせいなのか、宝物館に展示されていた舞楽の装束のぼろぼろっぷりには感動させられた。「きちんと神事に使っていた」ということがわかる、色は褪せているしほつれているし、という生々しさを素晴らしいと思った。
 ほかにも使い込んだ琵琶の摩耗っぷりとか、どうもわたしは綺麗に大事に保存されたものよりも、きちんと役目を果たしてきたものを見て時間の経過を感じることが好きなようだ。なので、清盛の納経のキンキラキンな様には違和感を感じたのだが、まあ、千年くらい経っているのにあの状態なのはよく考えたらすごいよな。もっと凝視してくればよかった。

 わたしは基本的に旅先でほとんど写真を撮らない。ポリシーがあるわけではなく、見ることに気を取られて写真を撮り忘れるだけである。が、今回は母親と叔母に同行しているので荷物持ちだけでなく写真もそれなりに撮らねばということで、いろいろ撮ってみた。
 えらく天気がよかったので、頑張らなくてもそれなりの写真が撮れたのは運がよかった。でも、フェリー乗り場から神社までの間にたくさんの大きな狛犬がいるので、ついついそればかり撮ってしまった……。
 しかしどれも姿形が違うので、なかなかおもしろかった。

 あと、なんでなのか鹿がたくさんいた。
 午前中の早い時間に着いたときはこんな感じでまったりしていたのに、午後になるとあちこちウロウロして観光客にちょっかいを出しまくっていた。
 しかも、わたしたちが行った日はロープウェイの送迎バスの運転手さんによれば「今日は特に外国からのお客さんが多い」とのことで、外人さんたちは鹿にからまれまくっていた。うまく相手をしている人もいれば(アイスクリーム食わせてる人いたな)、どうすれば離れてくれるのかわからず困っている人もいたり。わたしが見かけた鹿は日本人以外に狙いを定めているんじゃないかと思うくらい、日本人をつけ回す率が低かった。いつもこうなんだろうか?

 動物が苦手なわたしだが、それでもまあ鹿はかわいい。ので、帰りのフェリーを待つ間にベタな土産を買った。
 色合いやデザインは古くさくないけれど、地名がどどんと入っているあたりはまあ昔ながらの土産物である。
 向かって左はピンバッジ。右側はというと、金具がカニカンなので「目数や段数のマーカーに使えるかも」という目論見で買ってみた。大きめではあるが、太い毛糸であればちょうどよさそう。

 と思ったのだが。
 330円という値段からも適度にチャチだろうと思ったのに、厚みがそれなりにあって重さもそれなりだった。角がギザギザしているわけでもなく、しっかりとしたつくり。土産物なんだし500円にしとけよ、と思ってしまうくらいにきちんとしている。

 これは編み地に引っかけるには向かないな……かわいいんだけどなあ。