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編むこと以外が難しい

 靴下を編むときにいちばん大変なのはなんだろう、と考えてみたら、甲と底だった。履き口のゴム編みを終えてからかかとの手前まで編むあたりもそれなりに大変なのだが、それ以上に甲と底がそれなりにきつい。
 履き口はまあ、当初目指していた長さと違っていてもまあいいやと思う。20cmまで編むつもりでいても17cmくらいでこれでいいかなと思うこともあるし、要するに気分次第でいくらでも変更できる。
 しかし甲と底はそうはいかない。足の大きさに合わせて編む必要があるし、どういうわけか未だに「かかとから何cm」がはっきりしない。毎回、長さを測って、試し履きをして、「たぶんこのくらいで大丈夫なはず」と勘でつま先を編み始めている。

 おそらく、伸縮性のある毛糸の編み地の長さをうまく測れないせいだろう。編み地を平たくして測ればいいだけなのだが、この「平たく」が難しい。これが伸縮性のない紙であれば簡単だが、編み地はのびるので、どのくらいが「適切に平たくする」なのかがわからないのだ。メジャーではなく定規を靴下に突っ込んで測ることも試してみたが、どこまで突っ込めばいいのか適切なところがわからないのでうまくいかなかった。

 だからもう本や動画で説明している通りにやるのは諦めて、自分なりに毎回同じように測ることのできる方法を考えなければならないと思う。
 スワッチのように平面でそれなりの大きさがある場合、多少は伸縮性に過敏にならずに済んでいるので、靴下の甲部分の1cm角の段数を数えて、かかと以外の部分からどのくらいの長さが必要なのかを判断できる位置を決めて、その長さを段数に置き換える。とか。
 また変にややこしいことする羽目になるのか……簡易編み図といい、編むこと自体は難しくないのにそれ以外のことがどうもわたしには難しすぎる。

 いつも通り下らないことで悩んでいるが、追い討ちをかけるようなことがもうひとつ。

 平和の靴下のかかとを「すべり目・表目」で編むという工夫を考えてみたわけだが、動画があった。

●【編み込み】カモシカの靴下を編んでみました!


 かかとのうしろの両端はガーター編みにせず、かかとの底もすべり目をそのまま2目一度にすればいいようだ。考えていたよりずっと簡単らしい。
 未だ編み目の特性などを理解していないので、思いついたことは「たぶんこうかな」と仮定して試し編みをするという過程を踏まなければならない始末だが、こうやって動画などで確認できるのは勉強になる。
 が、もしこの動画を先に見ていたら「すべり目は2目一度ができるものなのか」ということを考える機会がなかったかもしれない。「すべり目は2目一度ができる」と知ることはできるが、「すべり目と表目は目の大きさが違う」という点を認識できずに終わってしまったかもしれないと思う。
 そんなことは知らなくても困らないかもしれないが、編み地の構造に目を向ける機会はできるだけ持っていたい。独学でやっていると基礎的なことが抜けてしまいがちなので、手順に流されていくだけにならないよう気をつけていないと、あとで痛い目をみたりするんだよな。

 ともあれ編み方はわかった。じゃあ次はこの動画通りに、と思ったのだが、自分の編んでいる靴下のかかとが悪目立ちしているように見えてきた。
 どうも段染めの毛糸についてはメリヤス編みがいちばんきれいに思えるようで、他の編み方をすると柄が騒々しいように感じる。それはこの靴下を編んだときに気がついた。変則ゴム編みとメリヤス編みの靴下を並べてみると柄の印象がかなり変わる。

 今回のかかとは「すべり目・表目」を繰り返しているだけでなので、それほど騒々しくはなっていないと思うのだが、どうもしっくりこない。目立って見えるのは厚みがあるせいなのか、なんなのか。靴下って簡単に編めるけれどいろいろ難しいな。