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適当に困難を乗り越える

 悪態をつきながら、ボタン穴がある側の前立ての編み図を書き直……さなかった。
 なんかもうほんと疲れたので、不親切きわまりない編み図を脳内で適当にどうにかした。雑なことやってんなと自覚しつつも、要はここをきちんとしときゃいいんだろ!と、腹を立てながら高速で仕事を片付けるときによく似た変な集中力と処理能力でなんとかした。

 その勢いで襟ぐりの拾い目も感覚で処理。だって、この数字、間違ってるかもしんないじゃん。
 不信感がピークにくると、何もかも疑う。製図の知識があれば正否の判断がつくのだろうが、そんなものはないし経験もない。そして図を書く気力が既にないので、当然、自分で書き直した襟ぐりの詳細編み図とにらめっこして拾う位置を決める元気もない。

 その結果。
 文句はない。
 充分だろこれで。写真ではよく見えないけれど襟のボタン穴の位置もまあまあだし。

 編み図に腹が立つなら、もういっそ自分で決めてしまう方がましだ。論理破綻しているマニュアルを修正していくよりも、手順を一から合理的・論理的に整理し直してぜんぶ書き直した方が早い。それとおんなじ。

 袖つけの目数の指定が書かれていないがそれももういい。知るか。勝手にやる。

 でもまずは袖下のすくいとじだ。前立てと襟で嫌気がさしたときに備えて敢えて着手していなかったが、嫌気がさしすぎて一気に仕上げてしまったので、これから。

 それにしても、デザイン自体には別に腹を立てていないのだ。まあ模様編みめんどくさいなとは思ったけれどそれは自分の技量の問題だ。腹が立つのは編み図と説明。
 まあ、こんな編み図でまた編むなんて御免だから、そういう意味ではデザインは編み図のとばっちりを食らってしまうのか。なんか気の毒に思えてくるな。