他所様の家に招かれて玄関に入ったら、三和土に整然と並ぶ靴に混じってアイロンが置いてあった。
というのがわたしの気づき方だ。書類の記入漏れも誤字脱字も、探すつもりがなくても靴に混ざったアイロンのように目立って見える。こう説明してもだいたい理解してもらえないのだが、実際そんな具合に目につくのだからしょうがない。
なのに最近はアイロンを靴と見間違えているわけだから、自分にとっては大問題だ。どうしたもんだろう。
でも困っているだけでは何も変わらないので、とりあえず音楽をがんがん聴いたり存分に考え事をしたり、好きなように過ごし……たいところだが、仕事があるのでそうもできない。
なのでせめて今日は考える仕事一辺倒にしてやった。朝から晩まで資料作成。しかも自分がよく知らない分野の物事を、同じくよく知らない人たちに理解してもらうための資料を作る。ひたすら調べてひたすら書く。
知らないおまえに何が書ける、と思われるかもしれないが、知らない奴が一から調べると「知識のない人がわからないこと・難しいこと」を念頭においた内容になるのだ。相手にわかるように説明するためには、相手がわかっていないことを踏まえた説明の仕方が必要になる。なので知識がない人間に書いてもらうのはけっこう悪くない方法だと思う。
もちろん、調べた内容を他人に説明できるレベルまでに理解しなければならないが。正直、ハゲそうなくらい悩むことも多々ある。でも理解できた瞬間の「なるほどそうか!」というのはなかなかの快感なので、こんなのやりたくないと投げ出すこともできないという。
だからキレかかっても投げ出せない。が、ストレスを溜め込むのも御免なので、中途半端に難しいとちょいちょい休憩を取る(極限まで難しいときは休憩がない方がむしろ良かったりするのはどういうわけだろう)。
それで惰性でInstagramを眺めていたら、玄関の靴の間にアイロンが見えた。
はっきり云ってどうでもいいことだ。目にしたものはたとえば「ホンダのバイクをカワサキのバイクだと紹介していた」とか「東芝製と説明のある商品の画像がソニーのロゴつきだった」とか、そんな感じ。
しかもそれは別に興味のない毛糸。しばらく買う必要がないので、季節ものの毛糸の紹介内容なんかどうだっていい。よほど魅力的であれば別だが、そういうものでもない。
でも靴の間にアイロンが並んでいれば、なんでこんなところにアイロンが、と思ってしまう。
ラベルが明らかに他社のものなのに、商品名にも説明にも違う会社のブランド名……
それでこいつを思い出した。
そうだ、年内に編む靴下の作り目まだやってなかった。でもゴム編みの作り目だから、時間に余裕があるときにやろう。あれこれ編み散らかしたいのに、どうもうまく着手できないな。
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