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怪しい雲行き

 太い棒針で細い変わり糸を引き揃えて編む、という試みの続き。
 変わり糸についているふさふさが編み地の裏側に溜まりやすいので気をつけながら編み、しかし編んでいるうちに裏と表のどっちがふさふさしているのか判断がつかなくなってきた。どちらもそれなりにふさふさ。……もうどっちでもいい気がする。

 諦めなのか思考放棄なのか。

 ……どっちでもいい気がする。

 そのうちなんとかなるかもしれない。これは首元から裾に向かって編み進めているので、裾のあたりでようやく納得がいくのかもしれない。
 とりあえず、慣れない編み方をするものは裾から編む方法が自分には最適だというのはわかった。いや、それよりもまず、首元から輪に編んでいくのは全体が想像し辛いのが地味にストレスだ。昔ながらの、裾から平編みで最後にとじはぎという面倒な方法が総体的には楽だな。

 いろいろ考えながら、次。金と黒が混ざったキンキラキンの滑りやすい糸のセクション。
 変わり毛糸と極細モヘアの引き揃えとはまた違った編みにくさ。一定のゆるさで編むなど不可能なのできつく編む。でも滑るからぎちぎちにはならない。しかしゆるみ方が一定ではないから編み目は整然としてなどいない。
 けっこうなストレスだ。が、無心で編む。編みにくいと思ったらひたすら編みにくくなるだけなので、なんでもないふりをして編む。でも下手。

 これどうなるんだ……

 あとは糸のキラキラとフサフサが派手に目の錯覚を引き起こしてくれるよう期待するしかないのか。キラキラフサフサのおかげで編み地の細かいところなど見えない、ということに。
 実際、変わり毛糸の左上2目一度は最初に編み図に出てきた箇所以外、すべて右上2目一度で編んでいる。というのも左上2目一度がどうにも編みにくく、どっちだろうとわかりゃしねえだろと開き直ったのだ。右上2目一度もSSKで編んだのはいちばん最初の箇所だけで、2回目以降はすべて目をかぶせるやり方に変えた。どっちだろうとわかるまい。
 ごく普通のまっすぐな毛糸ではどちらがよいか(適切だと感じられるか)見比べたりするのに、この変わりよう。

 だが、さすがにどうしたものかと悩むところがないわけでもない。
 ところどころ、単なるかけ目にしては大きすぎる空間があいている部分がある。編み地をじっくり見ても何が起きたのかわからない。目を落としているわけではないのに、なぜこうなる。

 わけのわからないことだらけだ。
 それでもわたしは冷静に、すべて編み上げたらあちこち適当にかがってごまかすか、と考えている。今できることでどうにかするしかないのだ。