編集

7年前の雑誌

2025/01/17
 ハマナカから出版されているベストアイズコレクションというのは、流行など関係がないような気がしているが実際のところどうなんだろう。
 たとえモードっぽいデザインであっても、それなりに時流は意識されているのではないだろうか。
 それとも、デザイナーがそのときの気分で好き勝手に(いや、リッチモアの毛糸を使うという縛りや指定のテーマはあるだろうけれど)デザインしているのだろうか。

 先日完成したもさもさでキラキラで編みにくかったチュニックは、こちらの雑誌掲載。
 表紙の下の方にある通り、1918年頃のウィーンの画壇がメインテーマ。
 要するに「世紀末ウィーン展」とか銘打った美術展があれば問答無用で足を運ぶ人なら嫌でも気になる。ならないはずがない。少なくともわたしはなった。

 載っているのはグスタフ・クリムト、オットー・ヴァグナー、コロマン・モーザー、エゴン・シーレの作品にインスピレーションを得たニットである。
 例のチュニックがシーレの作品と結びつかなかったけれど、もしかするとシーレのどんな作品に強い印象を受けたのかがデザイナーと一致していなかったのかもしれないな、と思う。深くて暗い黒とか、赤茶とか、レンガ色とか、そんなイメージがわたしの場合は強い。

 だがクリムトはさすがというかなんというか。
 次に編む予定の作品はこれなのだが、
 すごくわかりやすい。
 端に少しだけ写っているカーディガンの方も、四角い模様がもろにクリムト。唯一クリムトだけが、ほとんどの作品がクリムトのイメージそのもの。さすがクリムトということなのか。もちろん、誰もが共通のイメージを抱く画家であるということが本人にとって喜ばしいのかどうかわからないが。

 チュニックといい、このプルオーバーといい、これらは7年前当時の流行を取り入れているのだろうか。今時こういう丈の服って少ないような気がする。
 いや、7年前もなんだこれっていう変に中途半端な丈が多かったような……ということは、やっぱり流行無視のデザインなんだろうか。そうであれば嬉しい。そろそろ最新号が届くので、デザインが突っ走っているうえに「今どき」ではないスタイルの作品が多く載っていればいいな。