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指先からどう編むか

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 編みかけを放置しながらシーズンオフが間近の手袋について考える。鍋つかみがよれよれだから新しく縫わなければならないとか、いろんな課題を抱えながら編みかけを放置中。これでいいのか、と思うが、それが編みかけというものだろう。

 手袋の編み方の本を買った方がよさそうな気がしつつも、実物を見ながら編むと決めてしまったのでまずはこのまま進める。つい先ほど、手持ちの本にいろんな手袋が載っているのも見つけてしまったが、初志貫徹である。諦めたら途端にどうでもいいやとなるのに、諦めるまではけっこう頑固という、このへんの落差が激しいのはどうしようもない。

 それで次なる課題は、指先である。
 裏返してもよくわかんないんだよな。買ったばかりのときなら、もうちょっといろいろわかりやすかったのだろうか。でもこれを買ったとき、こんな細い毛糸を手編みで編めるなんて思っていなかったし、そもそも編み物自体に興味なかったしな。

 ちょっと考えてみたけれど何も思いつかないので、次に編む靴下のパターンをざっくり読んでみた。
Brooklyn Memories Socks pattern by Zanete Knits

Brooklyn Memories Socks pattern by Zanete Knits

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 つま先から編む靴下だし、デザイナーさんが5本針で靴下を編む動画をよく見かけるので、何かヒントはないか。

 しかし説明を読む限り、輪針を使った作り目。つまりマジックループに間違いない。5本針で編んでいてもここだけは別か。少し残念。いや、けっこう、かなり残念。

 何が残念って、マジックループに抵抗があるからだ。抵抗というかやりたくない。嫌だ。とっても嫌だ。
 なぜそこまで嫌なのかというと、見ているだけで非常にめんどくさいから。初めてマジックループで編む動画を観たときに「うわめんどくせえな」と口に出てしまったくらい、ものすごく面倒な編み方だと思った。
 何より、コードを引っ張って編み目に編み針部分を入れるという動作が自分には無理だと思った。やってられるかと投げ出すこと間違いなし。

 云うまでもなく、編んでみなければわからない。やってみれば案外そうでもなかった、ということはよくある。
 でもこればかりはマジックループを試さなくても結果は明らか。着るものを編んだとき、休めておいた目からチューブやコードを抜くのが面倒だったのだ。付け替え輪針を使った場合ですらそうで、だからそんな動作を30目を編むごとにやっていたら何段編めるか。2段も編めない気がする。いま考えただけでげんなりしている始末なのだ。

 原因は不明だが「コードなどを引っ張って編み針を目に入れる」というのが性に合わないらしい。そのくせ5本針の扱いは面倒ではないのだから、こういうところにも個人差が出るということだろう。
 5本針だって境目の目のゆるみとか、棒針の持ち替えとか、面倒なはずのことはある。これまで、編み終えた棒針を右手に持ち替えるとき、誤って次に編む編み地がかかっている棒針を引き抜いてしまったのは一度や二度ではない。それで未だに毎回、持ち替えるときはちょっと神経をつかう。

 で、指先をどうするかという話に戻る。
 作り目とそのあとの数段だけマジックループに耐える、という選択肢はない。本当にどうしようもなくなったときに検討すればいいだけで(どうしようもなくなってもまだ諦めないという……)、棒針でどうやればいいのか。

 まず考えたのは、別糸の作り目を輪にし、最後にメリヤスはぎ。
 ……指先という細い位置だと、6目とか4目を輪にする羽目になるのでは。できるのかそんなの。理屈ではできるはずだが、ましな編み目を編める自信がない。

 次に考えたのが、2023年のアドベント靴下で挑戦したアルネ&カルロスの方法。これは正直なところ難しかった。

●How to do a closed toe cast on. The ARNE & CARLOS Sock Special


 あれから1年以上経っているので、今やれば意外とうまくできるだろうか。ちょっと自信ないな。これは最後の最後の選択肢にしたい。

 となると、普通に輪に編んで最後に輪をとじる方法か。

●How to sew the toe of the easiest sock in the world by ARNE & CARLOS


 これも極端に少ない目を輪に編めるのかとか、微妙。そしてたぶん手持ちの手袋はこの方法では編まれていない。今回は手持ちの手袋と同じように編む(模様は編まないけれど)のが目的なのだ。
 だから指先から編むというトチ狂ったことを考えなければならないわけで、いつになったら自分がやりやすい方法に変えちゃおうぜと考える瞬間が訪れるのか。諦めが悪いんだよな。自分がめんどくさいが自発的に性格を変える気もなく、意図的に変えられるはずもなく。

 あとなんだろう。マジックループのやり方を無理やり棒針でやっていた動画を見かけたことがあるけれど、あれはどのくらい無理があるのか。そして、自分の技量でそんな編み方をしてまともなものが編めるのか。

 難しいな。
 難しいけれど、まだ吐き気がするまで考えていないのでもうちょっと考えよう。考えに考えて気分が悪くなるまで考えればいい。諦めるのはそれからだ。

 あっ。

 袋編み。
 今ではサンプルを編む用の毛糸を入れるのにぴったりで、「編んでよかった」としみじみ思っている。持て余していたコットン糸だったのが嘘のようだ。他のコットン糸もこうしてみるかと思ったけれど、余っているコットン糸は実験フリルにがんがん使う予定なのが惜しい。

 それはともかく、袋編みは2本の棒針を使い、なのに編み始めが閉じている仕様である。サンプル用毛糸入れを編んだときは作り目の考え方が変な方向に行って妙な仕上がりになったが、まともに編めば指先に使えるのでは。

 嬉々としてサンプル用毛糸をごそごそやって編んでみた。
 白いタコかよ。