どうにか到着し、建物の前に出ているテーブルをざっと眺めたけれど、刺繍キットが見当たらない。
ならば建物の中なのだろうか。
と咄嗟に思ったけれど、在日公館なんて初めて来た。
わたしは「日本にある外国の施設」といえば在沖米軍基地しか知らないので、ゲートがあって銃を持った兵士が立っている、というイメージしかない。だから建物の中にもあるのか?と思ったが、容易に立ち入ることなど不可能だとしか思えない。バカみたいに聞こえるだろうが実際そう思ったのだからしょうがない。
というわけで建物の前のテーブルにいた人に尋いてみて、結論からいうと建物に入れるとわかったわけだが、「建物に入ってもいいんですか」みたいな感じで尋いた……
で、建物に入ったら入ったで、入口のところに「携帯電話は受付に預けてください」という意味の立て札があってまたもやうろたえた。セキュリティほんと厳しいな、いや大使館みたいな建物だから当然なのか、というか受付どこだ。
というわけでまたもや近くにいた人に尋き、今日は預けなくてOKだとわかる。
なんというか、えらく緊張していた。
おそらく、在沖米軍基地のフェンスに掲げられていた看板にショックを受けた経験が未だに尾を引いているのだろうな。「日本なのに金網の向こうは外国で、しかも日本側に向けて単なる『立ち入り禁止』だけではない内容がくどくどと英語で書かれている」という異様さは本当にショックだった。
そんなわけで在日公館に対しても、過度に緊張してしまうのかもしれない。
ともあれ、無事に建物に入って目当ての刺繍キットを見つけた。
クロスステッチを施した生地を額に入れて飾ることができるキットで、おもしろいのが生地の下にわたを入れるということ。平たいままでもよさそうなのに、敢えてわたを入れるということは、パレスチナの刺繍は立体感を持たせることで更に映えるということなのだろうか。 刺繍の施されたポーチなども並んでいたので手に取ってみた。なかなかに細かいクロスステッチで、しかもけっこうぎっしり。かなり目移りして、小さめのものを買うことにした。
これはまだステッチが少ない方だと思うが、多色使いで美しい。たぶん糸杉のモチーフかな、と適当なことを思いながら、もうひとつの目当てのこちらでまた目移り。 「クーフィーヤ」という大判のストールのようなもので、パレスチナ国旗の色を使ったものもあったが、最終的にこの白黒のものにした。

クーフィーヤ - Wikipedia
undefined
個人的には「アラファト議長が頭に巻いていたやつ」との認識なので、男性用の装束なのかと思ったが別に厳密に決められているものでもないらしい。売り場の近くにいた女性もスカーフのように巻いていた。ちなみにこれはパレスチナ製である。
なお、帰宅後にはかってみたらだいたい120cm四方で、三角にふたつ折りにしたものを頭からかぶるとこのくらい。
でかい。 しかも、ふんわりした薄手の生地だと思っていたがガーゼのような生地で(Wikipediaの記事によると、ガーゼの語源は「ガザ」だという説もあるという)、決して厚くはないのだが大きいため、ボリュームがある。売り場にいた女性を真似て三角に折ったものを細長くして首に巻いてみたら、ストールというより「布地を丸めたもの」を巻いているような気分だった……やり方がおかしいのかな、わたし。
まあ、おしゃれに使いこなせなくてもアラファト議長みたいに頭からかぶればいいか。前に垂れた両端を交差させてうしろに回せば防寒具になりそうだ。シルエットがロシアのおばあちゃんみたいになりそうだけど。
どうであれ、これは大変にお気に入りになった。
クーフィーヤの話はこのくらいにして、他に買ったもの。
ベツレヘムパールのブローチ。 これはさすがに自分が買うには高価だろうと思い、実物が見られればいいやくらいに思っていたが、手が出せる値段だったので買ってしまった。
拡大。
実物はもっと透明感があり、真珠貝ってこんなにきれいなのかと初めて知った。様々な模様のものがあり、いちばんパレスチナらしいものを選んでもらったのだが、頂点が7つの星というのはどんな意味なんだろう。 あともうひとつも星のモチーフ。
刺繍枠のかたちの枠に、パレスチナ国旗の色を用いた星の刺繍がはめ込まれているストラップ。他の色もあったけれど、これがいちばん目を引いた。 ホビーショーに続いてまた散財してしまったが、まあ、チャリティバザーなのでよしとしよう。かなりの自己満足であることを承知で書くと、こうやってパレスチナのものを買いに来る人間がいるということにより、パレスチナのことが忘れられているわけではない、と思ってもらえれば幸いである。
今回はじめて広尾に行ったわけだが、いろいろと落ち着かなかった。大使館が集中している地域なので、道すがら他国の大使館(ドイツ・フィンランド・パキスタン)を眺めるという楽しみ方もできたと思うのだが、心理的に余裕がなかった。
人がすれ違える程度しかない歩道を自転車が走っているという腹立たしい事態もあるが、とにかく狭い場所にいろいろ詰め込まれているような感じが息苦しく感じたのだ。
密集度が高すぎる駅前を抜けると、ドイツ大使館の脇の急な坂をのぼっていったのだが、道幅はましになったのにやはり気分がすぐれない。ここには馴染めない、という違和感が強くあった。
どこかに行き、その場所に対して苦手だと思うときは理由がはっきりしている。でも今回は、なぜこの場所にもう来たくないという気持ちがこんなにも強いのか理由がわからなかった。
ともあれまたパレスチナ常駐総代表部に行く機会があったら、別のルートから行くことにしよう。
余談として、クーフィーヤに関する話をもうちょっと。
アラファト議長とロシアのおばあちゃんのミックスみたいな使いこなしをしそうな気配があるので、一応、巻き方を調べてみた。でもいざ「クーフィーヤ 巻き方」で検索すると、中央アジアから中東までの広い範囲での「ストール的なものの巻き方」が表示されてしまう。なんでだ。
まあ、かたちは似ているし、でいろいろ見てみたらたぶんこのページの「三角巻き」がいちばん無難。
◆◆SISAM gallery @URADERA◆◆ パレスチナ・アマル 「パレスチナ・スーク展」まもなく終了! | シサム工房 フェアトレードとエシカルファッション・手仕事のお店(京都/大阪/神戸/東京)
こんにちは。京都・裏寺通り店のトクナガです。・・秋晴れが続く10月。10月といえばトクナガの周りは怒涛の結婚ラッシュでした!ありがたいことに幸せのおすそわけをたくさんもらっています!・・さて、大好評開催中の裏寺ギャラリー「パレスチナ・スーク展」まもなく終わりに近づいています。・○○●●○○●●○○●...
で、もうちょっと他にないかなと思って次に目についたものがこれ。

アフガンストールの巻き方!(テロリスト巻き)
こんばんは!「番頭」です。 本日のマイブームは「ポウ!ポウ!ポウ!鳩ポウ!ポウ!」っとマイケル・ジャクソンな感…
上記のリンクではタイトルが表示されているので想像がつくと思うが、わたしはタイトル部分をろくに見ずに読み進めながら巻いていたので、この部分で噴いてしまった。
確かにまあテロリスト風か…… ただこの巻き方、顔がとても暖かい。耳もしっかり覆えるので、真冬にこの巻き方いいな。テロリスト風だけど。
コメントを投稿
別ページに移動します