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わに開眼

 あみぐるみのパーツの位置決めは、サディスティックに見えなくもない。
 段数の目印は編みながらマーカーなどでつけられるが、あみぐるみというのは中身を詰めたり他の部分とまとめることにより、つけるべきパーツの位置が変わる。何段目の何目めから何目めまで、というわけにはいかないのだ。編み方によっては目数が目印になり、段数はまとめたあとで決めることになる場合もあるのかもしれないが、とにかく編むだけの段階では確実な座標はとれない。だから難しい。

 待ち針などでどんなに完璧な仮止めをしても、編みつけていく過程で多少なりとも位置はずれる。立体に何かを編みつけるというのは何度やっても難しいと思う。未だに糸の引き加減も手探りというか適当というか、状況に応じてどうにかやりおおせるという感じ。
 なので、あみぐるみを組み上げるときは時計を見ない。なるべく夜にもやらない。時間の経過がわかりにくい時間帯を選ぶ。そうじゃないと、かなりの時間がかかったと知り心理的に更に疲れてしまうから。
 こちらの苦労を意に介さず、「ひゃっほう目がついたぜ」とでも云っているような顔つき……

 しかしまだこれで終わりではない。つぶらな白目にまぶたと黒目を追加するのである。まぶたって。確かにあるが、まぶたなんて編んだの初めてだよ。
 小技がきいていて難しい。でも一応、ますますわにらしくなった。
 しかし、まだやることがある。これで完成じゃないっていうのがある意味ですごい。どこまで凝っているんだこのデザイン。