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完成したわにに煮干しを喰わせる


 野生のわには(たぶん動物園のわにも)煮干しなんか食べないだろうけれど、今うちにあるフォトジェニックな魚といったらこれしかない。ささっとエミーグランデでいかにもな魚を編めるだけの技量もないし。

 ともあれ、立派な歯ができた。そしてこれで完成。うーん、大変だった。

 わにの口は明確な境目というか歯茎に見立てられる場所がないので、ゆるっとカーブした部分にいかに自然に歯を沿わせるか、というのが難しかった。
 まずは口の両端に歯を仮止め。
 そして口の先にとじ針を刺して歯の中央を仮止め。止めるというか、引っかけるというか。
 で、こうやって留めた状態で歯の根元を編みつけていくのだが、上下の顎は直線の三角というわけではないのでゆるいカーブがつくよう調整しながらやっていく。
 上の赤線で示した部分が仮止めだけの状態で、下はカーブをつけながら編みつけたもの。よく見ると反対側はわりと直線だな……ともあれ、カーブがあった方が自然な気がしたので、もう勘のみを頼りにやっていく。
 なお、反対側はわりと細かく巻きかがったのだが、1目につきひと針程度でやった方がうまくカーブがついたように思う。

 口の横のカーブ以外に気をつけたのが、口の先。
 ここがけっこうな難関だった。編み図の写真では顎先から歯にかけて自然な曲線を描いているのだが、あとから編みつける方法でこれができるか? 難しいよなあ、と早々に悟ったので、可能な範囲でどうにかするしかない。
 あんまり内側に歯が入っていても変だし、出っ張りすぎても変だし。どのあたりが絶妙なのか確認に確認を重ねた。
 いろんな角度から確認するという念の入れ具合で、編み図の表紙の「歯は大事!」の意味するものとは違うのだろうけれどほんとに「歯は大事」と思った。
 そんな大事な歯を編みつけ、ようやっと完成である。
 背中。まぶたの幅が足りていないのか、ただの出目なのか。
 腹。ここは違う糸なので、わにらしさ倍増。
 もっと大きくなると思ったけれど、案外そんなことはなかったので枕にはできそうにない。
 ならば糸を引き揃えて大きく編むか、……という気力はないな、今のところ。難しいっていうか大変だったなあ。