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さすがに難しい

 先日のドイリーを金票40番で編み始めた。

 今回は中心がcrochet buttonという特殊な代物なので、まずここでひどく難儀した。通常であれば段数が増えるごとに円周が大きくなるのに、今回はそうではない。小さな円を相手にした作業がしばらく続く。金票40番で編む際は虫ピンがマーカーの代用品として最適なのに、それすら邪魔になる有り様。そんなわけで、つい目数を適当に済ませてしまった。
 やっと1周の目数が増えるという部分でも、適当なところで増し目。そしたらなんだか数がおかしくなったが、そこも適当になんとかした。

 レース編は厳密にやらなきゃ駄目だ、と思っていたのだが。
 あっさりと撤回していつもながらの雑で適当な編み方へ。

 でも親指の爪より小さいブツを相手に真面目にやるのはきつい。最初の作り目からようやく1周あたりの目数が増えたところでも、まだこんな。
 試し編みの大きさが懐かしくなってきさえする。
 とにかく今のところは、ヒイヒイ云いながら編んでいる。「さすがに今回はやめようかな」と一度だけ思ったが、たったこれだけで存分に難しいものをほどいてしまうのがもったいなくも感じたので続けることにした。

 それにたぶんこれをほどいたら、糸には癖がついているだろう。毛糸ならともかく、ここまで細い糸がよれよれになっている様はきっと「ものすごく頑張ってどうにかマシに見えるレベルに縫ったのに、目指す位置から盛大にずれていたので大汗をかきながら糸をほどいた」というときの縫い糸に酷似しているに違いない。
 あのほどいた縫い糸というのは、二度と縫い物なんかやりたくないと強く思わせるだけの力がある。しかも毛糸はほどけばまた使える場合が多いが、縫い糸は基本的にほどく過程でからまったり切れたりするので、頑張って縫って大汗かいてほどいてゴミになるのだ。その絶望感はどこまで潜っても底が見えないレベルで果てしなく深い。
 そんな縫い糸にそっくりなヨレヨレのレース糸を見るくらいなら、脳内に阿鼻叫喚を響かせながら頑張ってドイリーを編む方がよっぽどマシである。

 なんだか自分が病的に縫い物が苦手だと説明しているような気がするが、ともあれ金票40番のドイリーは継続。ミニチュアを編んでいるわけでもないのにこの小ささというのが釈然としないが、元はエミーグランデで編むものを金票40番で編むという酔狂なことを思いついたのは自分自身なのでしょうがない。