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投げ出した理由の検証

2024/10/212
 こないだ己の計画性のなさをしみじみと実感し、ほんとしょうがねえなと改めて思った。このままいくと「あれもこれもやりたかった」と後悔まみれで死ぬ羽目になるのではないか。それはいやだ。わたしは死ぬ瞬間には「まあ悪くない人生だったな」と思いたいのだ。幸福な人生など求めていないが「悪くなかった」と思いながら死にたい。
 そのためには、やりたいことを片っぱしからやるべきだろう。ということは、野放図にあれこれ編みたいという方向性は間違っちゃいないのか。

 しかし、好き勝手やるには基礎も重要だ。そしてわたしには基礎がない。だから真面目にあれこれ調べながらやってきた。が、現時点で好き勝手できる技量だろうか? まだいろいろ足りていないと自覚しているから、10月以降は学ぶことに重きを置いた計画を立てたのではなかったのか。
 おかしいな、と思ったらまずは最初に戻ることだ。今年の残り3か月を学びに充てるつもりだったが、そもそも自分はなぜそうすると判断したのか、そのために何をすると決め、どうしてそれがよい方法だと思ったのか。


 まずはフェアアイルだが、実は好き勝手に編もうと思う少し前に、取り組む必要性がないことに気がついた。
 結論からいうと、編み込み模様の編み方にはしっかりしたセオリーがあると思っていたのがまず誤りだったとわかった。
 もちろん、編み込み模様について決めごとが何もないというわけではない。初心者レベルでもまずおさえておくべき要点というのはある。が、参考にする本をじっくり読んでいたら特に目新しい技術はなかったというか、本にはこれまで断片的に見聞きしてきたことしか載っていなかったので、改めてこの本を教科書にする理由がなくなった、ということだ。

 それから、「小さなものから編んで慣れていく」という方法も1年前なら意味があったかもしれないが、気合いと欲の強さでどうにかすることを繰り返してきた現在はもはや必要がないだろう。
 むしろ「練習のため」という理由で必要のないものを編むというのは悪手。好きなことしかできない自分にはとんでもなく向いていない。本をざっと読んだときは「こういうものも、まあ、あってもいいかな」という気持ちだったが、その程度ではあとあと「別になくていいかな」になるのだ。

 そして何より、そもそもの動機はアイスランドのロピーセーターを編むためなのだ。そのために編み込み模様をきちんと編めるようになりたいと。フェアアイルを編みたいという気持ちは少しもなくて、編み込み模様を練習するための手段としてフェアアイルの編み方を勉強しようとしていたのだ。
 フェアアイルは1段で使う色は2色までというルールがあるのに対し、アイスランドのセーターはそういった制限がない。目的のロピーセーターも1段3色の部分がある。
 2色でスムーズに編めれば3色も簡単、となるのかどうかはわからないし、もし仮にそうだとしても、2色で編むときの決めごとは断片的な情報で足りているらしい。ならば、あと調べるべきことは3色で編む方法だろう。

 こうなると、いちばん合理的なのはアルネ&カルロスの作品から好きなものを選ぶことが、編み込みの練習になるのではないか。手元にある編み図は小物から大物までよりどりみどりなのだから(Webショップ整理のセールで買い漁った編み図がたくさんあるし、直近では来月からのKALが編み込み模様の練習になるだろう)。

 そもそも先ほど挙げた本に限らず「いつか編んでみたい」と思った編み込み模様のものは、調べてみたらどれもこれもスカンジナビアかアイスランドで、フェアアイルが皆無なのだ。さすがにこれは自分でも驚いた。2色だろうと3色だろうとこうだとは。

 ふと思い出したが、3色の編み込みもアルネ&カルロスが動画で説明していたな。しかも「ちょっと難しいけれどこのくらいで練習するのがちょうどいい」と説明されていたような。英語を追いかけるのが大変で充分には理解できなかったが、これを頑張ればどうにかできるんじゃないのかもしかして。
アルネ&カルロスの動画をすべて観るチャレンジ #2 | ハチドリの記

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©Arne&Carlos  番外編がふたつ続いたあと、4番目に古い動画は編み物がテーマ。  …………リストウォーマー。  タイミングの悪さに思わず自分の日頃の行いを振り返ってしまったが、うん、まあ、あれだ。  つぶつぶ模様のもう片方はまだ手付かず。というか、迷い中。完成した方...


 ……これからはこういう遠回りをしないよう気をつけなければ。調べものの姿勢もよろしくなかった。もっと冷静かつ綿密に調べるべきで、安易にツールにできそうなものに手を出すのはよくないな。
 要するに、早くロピーセーターを編みたくて焦りすぎていたということか……


 もうひとつの課題である製図については、いったん先送りにすることにした。
 これから編み始めるものはデザインの関係で自分の身体にぴったり合わせる必要はないので編むことに集中したいというのと、改めて検討したところ「だいたい雑にやって済む」という結論が出たため。

 本当にそうなのか、もうちょっと突き詰めて考える必要はもちろんある。編み込み模様の練習が見当違いの案だったので尚更。
 でも少なくとも現時点では「入手した本をひととおり読めば事足りる」というところに落ち着きつつある。
 好き勝手に編むことになったらサイズ調整も好き勝手にやるのかよ、とうっすら思うが実際それで足りそうな気配なのだからしょうがない。なんでこうなった。まさか2年後くらいに死ぬからいろいろ手短に済ませる方向に進んでいるんじゃないだろうな。それはいやだ。